あるアンケートの結果をプリントしたものが机の上に置かれていて、それの最初の設問に興味が湧いて思わず目を通した。第一の設問は「100歳まで生きたいと思う?」である。回答者数は4000人ほどのようである。私ならば「NOで、理由は100歳に価値を見い出せない」である。集計の結果はYESが35%で、理由は「やりたいことがたくさんある」「孫子の成長を見届けたい」「生きるのが楽しい」などである。NOが65%で、理由は「病気になってまで生きたくない」「親族に迷惑をかけたくない」などだ。さらにNOの回答者のうちの48%が80歳代、31%が70歳代で死ぬのが理想とある。私の望みは70歳代だから、もはや私に残された時間はそれほど多くはない。
第二の設問は「食うと寝るはどっちが好き?」である。私ならば「寝るで、理由は無の世界に入れる」と答える。集計の結果は食うが56%で、理由は「幸せな気分になる」「おいしい」「元気になる」などだ。寝るが44%で、理由は「気持ちいい」「健康にいい」「元気になる」などだ。これは設問のミスだと思うが「怠け者のイメージはどっち?」には93%が「寝る」と答えている。第三の設問は「趣味はありますか?」である。92%があると答え、さらにそのうちの62%は他人に胸を張れるほど熱中していると回答している。上位から順に読書、旅行、スポーツをする、音楽を聴く、パソコン、映画や劇の鑑賞、写真、スポーツの観戦と続いている。掲載されていた15位までに私の囲碁は出てこない。
吉本隆明さんが3月16日に87歳で亡くなった。白内障と腸がんの手術をし、歩くことも読むこともままならなくなった晩年まで、言論活動について「僕はまだ諦めたくない」と意欲的だった。 次女のばななさんがツイッターでつぎのようにコメントしている。「みなさん、ありがとうございます。父は最後まですごくがんばりました。父が危篤なことを言えずつらい一ヶ月でした。最後に話したとき『三途の川の手前までいったけど、ばななさんがいいタイミングで上からきてくれて戻れました』と言ってくれました。『としよりは、同じ話ばかりで情けない』と言うので、そんなことはない、いるだけで嬉しい、と言うと『そう思えたらいいんですけどね』と笑いました。最高のお父さんでした」このコメントに私は深く打たれた。正直に言うとそんな父娘関係が妬ましかった。