玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*春分の観察会

2012年03月26日 | 玉川上水の四季

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 今年は彼岸を過ぎても冷たい風が吹くことが多い。玉川上水オープンギャラリーの春分の展示はスタッフの一人である新津さんの「鈴木用水」である。小平市には、いまだに水をたたえて流れる用水が存在している。鈴木用水は新堀用水と違ってその存在があまり知られていない用水の一つである。民家の敷地内を流れている部分もある。新津さんはこれら幅1mにも満たない小川を何とか保存することはできないかと考えるいるうちの一人だ。春分のミニ観察会は陽射しに恵まれた。スタッフ4名に加えていつもの顔ぶれが集まり総勢十数名での散策だ。

 上水沿いの農家の敷地にある種々の梅がようやくいっせいに咲き誇っている。これは例年だと雨水の時の風景だと鈴木さんは言う。梅に関する限り今年は季節が1ヶ月遅れている。先日訪れた青梅市では3年前にプラムポックスウィルスによる被害が発生し、梅の木が大量に伐採処分され生産農家が打撃を受けていることを知った。梅には鑑賞用の梅と収穫用の梅がある。観光従事者と生産従事者では伐採に関して意見の相違が存在し、行政は頭を痛めているという。梅の鑑賞については昔からつぎの三つの楽しみ方が言い伝えられている。ちらほら咲いている花を探しながらの「探梅」、いっせいに咲き誇った花を鑑賞する「賞梅」、散りゆく花を名残り惜しみながらの「送梅」である。

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 葉を落としたサルスベリと思っていた木がヒメシャラの木と教わり、これはアセビ、キブシの花ですと教えられまじまじと眺める。二つ垂れさがっているのは雄花で、ここにポツンとあるのが雌花だとツノハシバミという木を示されてもこれはすぐに忘れるに違いないと思う。陽の光を浴びてアマナが花開いていた。黄色の大きな花はタンポポでなくてノゲシと教わる。散策の途中にすすめられて土手に群生している山菜の「かんぞう」を採取する。昨年は無知ゆえに大幅に遅れた時期に採り、何だこれはという苦い経験をした。なにごとにも旬というものがある。その夜に湯がいて食べた。アクは全くなく甘味とヌメリが特徴だ。「かんぞう」を味わうのに一年かかったことになる。

 蝶は春から秋にかけて「成虫」の姿で過ごし、冬の寒い時期は「卵」で過ごすものや「幼虫」で過ごすものや「サナギ」で過ごすものが大半である。その中にあって「成虫」の姿のままで厳しい寒さを乗り切っている「成虫越冬型」の蝶がいる。鈴木さんによると上水で最も多く出会うのはキチョウだろうという。昨年暮れの散策ではクヌギの樹液に訪れたルリタテハを目撃した。今回の散策では鈴木さんがいち早くアカタテハを見つけて皆に知らせてくれた。その時の蝶が人だまりの中でかなりの時間同じ姿勢で留まっていたのが不思議だった。鈴木さんの今年のテーマの一つは蝶の羽化であり、蝶の食樹が植えられ鈴木さんの庭では羽化が待たれている状況だという。鈴木さんのテーマは尽きることがない。

コメント (1)
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