玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*向島百花園

2015年05月11日 | 捨て猫の独り言

 立夏の玉川上水をオープンギャラリーの鈴木さんは、つぎのように紹介している。「低木のユキノシタ科のウツギに加えて、ノイバラが法面から側壁までを白色に塗りつぶします。さらには小高木のエゴの花が頭上に白一色を覆いかぶせてきます。この季節に緑道は白の世界に変身するのです」 鈴木さんの展示を見た後で注意深くあたりを見回すと、指摘にある通り景色はどんどん変化している。くりかえされる確実な移り変わりに驚く。

 墨田区の向島百花園は、北千住駅で乗り換えて東武伊勢崎線の東向島駅で降りると徒歩8分のところにある。この界隈は永井荷風の「墨東綺譚」などの舞台となった色街であったそうだがその面影はない。百花園は江戸の骨董商が造り上げたもので、大名庭園とはひと味ちがって親しみやすい花園だった。広さはおなじ隅田川左岸にある清澄庭園の三分の一ほどだ。みどりの日ということで入園料70円は免除された。

 我家の庭にカエデがある。百花園にも同じものが植えられていて、ぶら下がった名札でその固有の名を知ることができた。私事ながらこの機会にカエデとモミジの違いが明確になった。モミジは秋にカエデ、ツタ、イチョウなどの葉が赤や黄色に変色する現象で植物分類上の言葉ではない。庭の楓は「たむけやま」と言う名であり、細長ぎざぎざの葉の色は春の芽出しから紫色で、さながら秋の紅葉を春から見ているような楓である。

  

 我家の庭にウツギがある。これも百花園の名札で我家のウツギは「はこねうつぎ」と言う名であると知った。枝が中空の樹を一般にOOウツギと呼んでその数は多い。ウツギの代表はユキノシタ科である。ウツギ、ヒメウツギ、マルバウツギがユキノシタ科ウツギ属の御三家である。「はこねうつぎ」はスイカズラ科タニウツギ属で、六月に咲く花ははじめ白色で次第に紅色に変わる。墨堤の葉桜の下を吾妻橋まで行くとビルの屋上に「金の炎」のオブジェが見えた。

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