映画館で黒澤明の「七人の侍」を見た。勘兵衛(志村喬)の声以外は聞き取りにくかった。終了30分前に途中退場した。7月の「アマデウス」の時は字幕を見て3時間はあっという間に過ぎた。字幕のある洋画なら大丈夫だ。テレビのスポーツ番組は音消しで見る。聴覚障害は私にかくのごとき影響を及ぼしている。
日米の野球は北海道・日本ハムとシカゴ・カブスの優勝で幕を閉じた。そして今、来春の開幕まで待ちきれないぞという思いの野球ファンは私ばかりではないだろう。今回のMLBのポストシーズンでは私の予想はつぎつぎに外れていった。まずひいきのボストン・レッドソクスが敗れ続いてトロント・ブルージェイズがともにクリーブランド・インディアンスに敗れた。インディアンスを率いるのはフランコーナ監督だった。ワールドシリーズはエリー湖のクリーブランドとミシガン湖のシカゴの五大湖対決となった。
7試合戦った末に優勝を果たしたのはカブスのマッドン監督である。日本の囲碁の名人戦でもMLBのワールドシリーズでも最終の第七戦まで戦われて盛り上がった。奇しくもこの二つの闘いが決着したのは同じ11月3日だった。私が定年退職してMLBを見始めた頃に両監督は激戦地のアメリカン・リーグの東地区でしのぎを削っていた。フランコーナはレッドソックス、マッドンはタンパベイ・レイズの監督だった。多くの注目選手と同じぐらいに私は両監督に馴染んだ。
フランコーナは2004年にレッドソクスに86年ぶりの優勝(バンビーノの呪いを解く)をもたらし、2007年にもレッドソクスで自身2回目の優勝を果たしている。なぜか試合中にユニフォーム姿でいることはほとんどなく、トレーニングウェアを着ている。マッドンはこれまで3回もリーグ最優秀監督を受賞し、今回カブスに108年ぶりの優勝(ヤギの呪いを解く)をもたらした。自身は初めての優勝である。トロフィーを抱く姿が似合いますねと言われて、マッドン監督は「1人目のベビーを授かったんだ、最高の気分さ」と答えていた。