雨上がりの朝にカタツムリが散歩していた。彼は車庫に敷かれた方形のコンリート盤のところで引き返そうとしている。車を手放してから久しい。雨にぬれたコンクリートの上は滑りがよさそうだ。霧雨がときおり舞い降りる。
湿気をたっぷりふくんだ大気の中で、かがみこんでしばらく彼の行為を観察することにした。今度は、ぬれた玉砂利の上を全身を伸ばしてアジサイの咲いている草むらを目指して悠然と進んで行く。雨に誘われて、わが身の危険を忘れて散歩に出たらしい。
童謡に「つのだせやりだせあたまだせ。おまえのあたまはどこにある」とある。謎は深まるばかりで調べてみた。カタツムリには「でんでんむし」という呼び名がある。カタツムリをツンツンして楽しむ子供たちの「出よ出よ」のはやし言葉が由来という。
周囲の障害物を察知するための小さな目玉が、4本の触角のうちの大触角の先端にある。カタツムリはサザエやタニシなどと同じ巻貝の仲間で、陸上で生活できるように進化したのがカタツムリだ。歌詞の中の「ヤリ」は交尾の際に相手を突き刺すのに使うという。ヤリを目撃するのはむずかしそうだ。