田中優子(前法政大総長)が「週刊金曜日」に「おじゃま政権」と題するコラムを書いてた。「おじゃま虫」という言葉に倣って、その場にいては困る政権のことを「おじゃま政権」と表現した新語である。菅義偉政権が、新しい時代を作っていこうとする国民の邪魔をしているという。
まず、選択的夫婦別姓を通さないことだ。反対する議員は「日本の伝統的家族に反する」と言う。日本の夫婦が同姓になったのは明治31年(1898年)である。どうせ言いくるめるなら、せめて「日本の伝統に戻してはならない。明治時代の日本を死守せよ」と言うべきだろう。
つぎに、LGBT理解増進法案も見送られた。LGBTに対して「種の保存にそむく」「道徳的に認められない」という発言をした議員たちは、オリンピックの存在そのものを否定すべきだ。そもそもLGBTが種の保存にそむくなら、江戸時代に日本人は滅びていたし、「不道徳」という議員は、日本の武士は不道徳だったと断言すべきだ。
安倍政権時代に、ごまかし答弁を指す「ご飯論法」を広めたのは法政大教授の上西充子だった。「朝ごはんはたべたか」と聞かれ、パンを食べたことを隠して「ご飯(白米)は食べていない」と説明することの例えだ。こんどの菅政権になると、詩人まど・みちおの「くろやぎさんたらよまずにたべた」から想起して、質問を食べてしまったかのように、質問とかみ合わない菅首相の答弁を可視化する「やぎさん答弁」という新語ができた。