郷里の南九州では高木といえばクスノキだ。由緒ある場所の多くにはクスノキが聳えていたという印象がある。ところが職を得て移り住んだ関東で、真っ先に気づいた高木はケヤキだった。おうぎ形に広がる樹形はこれまで見たことのないほどの美しさだった。
落葉樹の少ない南九州に育った人間にとって、ケヤキが新緑から秋の紅葉へ、そして落葉し冬空に凛としてそびえる小梢へと姿を変えてゆくのを見るのは、とてつもなく新鮮だった。ケヤキは北海道を除く全国に分布しているが、シンボルに指定している市区町村は関東地方が圧倒的に多い。
東村山駅の東口には「志村けんの木」がある。「東村山市の知名度を高めた」功績による感謝状授与の記念に植樹されたものだ。これがケヤキの木だ。彼が新型コロナウイルス感染による肺炎で亡くなる前のことである。
このたび「志村けんの銅像」が同じ場所に設置され、6月26日に除幕式が行われた。東村山青年会議所などでつくる実行委員会が、クラウドファンディングで製作費を募った。和服姿の志村けんが「アイーン」のポーズをしている。梅雨が明けたら見に行くつもりだ。