長年のモヤモヤが氷解した気分だった。甲子園の決勝戦が行われた8月23日の1時から、NHKBSの戦争スペクタクル超大作「パリは燃えているか」(1966年公開)を観た。まずこの映画のタイトルはヒトラーの「敵に渡すぐらいなら灰にしろ。跡形もなく燃やせ」というパリ破壊命令からきていることを知る。
私はそもそもこの映画のことを知らず、このフレーズだけは聞き知っていて、これはなにか蜂起の連帯の呼びかけの言葉だろう考えていた。ヒトラーが発したセリフとは知らなかった。ドイツのパリ占領期の最後のパリ軍事総督・コルテイッツ将軍はヒトラーの命令を無視し続け、連合国側に降伏しパリを救った男として後世に名を残した。
映画は1944年8月7日から8月19日のレジスタンス蜂起開始から、アメリカ軍の援護を受けて8月25日のパリ解放までを描いている。コルテイッツ将軍を説得するスウエーデン領事役のオーソン・ウェルズは存在感があった。アランドロンはレジタンスの大佐役、カフェの女主人はシモーヌ・シニョレ、米兵にジョージ・チャキリスやアンソニ・・パーキンスなどの懐かしい顔があった。
1995年3月にNHKスペシャル「映像の世紀」の放映が開始された。そのテーマ曲の作曲者が加古隆だ。その曲の題名も「パリは燃えているか」である。映像とともにテーマ曲の圧倒的な迫力に感動した人は多いと思う。加古隆は人間のもつ愚かさ(燃えているか=戦争の繰り返し)、人間のすばらしさ(パリ=科学・芸術)の二面性を表現したかったと述べている。