鹿児島に8月25日から4泊した。滞在中に地元紙の読者の投書欄に注目した。この夏の甲子園での鹿児島工高の健闘を地元はどのように称えたか。私のような県外組にとって 「なんつぁならん」 は事件だった。準準決勝の福知山成美戦でのことである。決勝ホームランを放った主将がインタビューに答えて 「言葉にならないくらい嬉しい」 ということを方言で言い切ったのである。「なんつぁならん」 を理解できる多くの人たちにある種の感動をもたらした。鹿児島工高は準決勝においてあの早稲田実業に敗れた。地元投書の反応は生真面目で冷静との印象だった。
市立美術館で開催されている 「20世紀イタリア具象彫刻最後のマエストロ・クロチェッティ展」 を見た。市内の中学生や高校生がレポート用紙を片手に作品を見ながら何やら書き込んでいる。ジュニアガイドという栞が受付で配布されていた。5つのみどころをあげて解説している。受付に引き返し私にもぜひとお願いして手に入れた。この日初めてクロチェッティの作品を見て魅了された。おしゃれで洗練されているねと思った。彼は03年に90歳で死去している。
鴨池から垂水行きのフェリーに乗ることにした。船から県庁の建物の方を見ていまさらのように気がついた。手前に見えているホテルはつい5ヶ月前に娘の結婚披露を行った所である。フェリーは鹿児島市から大隈半島の中核都市である鹿屋市へ行く場合などに利用される。乗船時間は40分だ。垂水港には広大な無料駐車場がある。車のフェリー代金は馬鹿にならないからだ。今回の小旅行の楽しみは桜島を裏側から眺めることであった。垂水港から国分方面へのバスに乗る。日本一長い足湯がある新名所 「道の駅たるみず」 で降りて温泉に入る。再びバスで桜島口まで引き返して乗り換える。バスは2人の乗客を乗せて溶岩道路を疾走して袴腰に出る。そこからはお馴染みの桜島フェリーで鹿児島に戻る。ぐるり桜島囲い込みコースと名づけた。故郷再発見で頭を悩ますのもまた楽しい。
鹿児島中央駅の駅ビルの最上階には大観覧車とシネマ街がある。昼間に一人で観覧車に乗った。少しでもその気があればすぐ実行が最近のモットーである。高いところには弱いほうなので足の裏の神経が過敏に反応する。15分で料金は600円である。夜になって89歳の父と82歳の母と3人で外食した。そのあと駅ビルに誘って父母を観覧車に乗せた。冥土の土産ができたと言いつつ降りてきた。まんざらでもない様子である。写真は道の駅たるみずにて。