忘れ人の独り言

明治生まれの両親がさりげなく生きていた姿が今,私に語りかけてくる。

「人間を生きるということ いのち考」と題した内容の同朋新聞を読んだ

2019-02-01 | 生き方を学ぶ

「人間を生きるということ いのち考」と題した内容の同朋新聞を読んだ。宗教学、生命倫理,死生学を専門に研究されている安藤 泰至さんから話をきかれたものだった。 (以下 抜粋)

2016年相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者の方の多くが死傷された事件。事件を起こしたこの施設の元職員の青年は

重い知的障害や重複障害をもつ人を「心失者」と表現し彼らは人間であることがすでに崩壊した存在なので周りのためにも国の財政のためにも、安楽死させるべきだと主張し、自らの行為についても「彼らは人ではないので殺人ではない」とまで発言。

 

インタビューに対して安藤さんは「心失者(人間の心を失っている者)という表現は、何か人間の基準があって、それに満たない人は人間ではないという発想です。実はこの考え方は、近代医学の根本的な考え方とすごく相性がいいんです。ー中略ー望ましい生とそうでない生とを峻別し、前者のみを求め後者を排除する「優生思想」という考え方に近づいていきます。」

 

続けて安藤さんは「私たちの死生観、価値観の前提になっている生や死のかたちが切り崩されてきているのです。そして安楽死させることに「それが正論」だと発言する人も一定数出てくるようになった。

さらには政治家や影響力のある人たちがそのような考え方を肯定するような発言を平気でする時代になっている。と話されている。

そして自己責任や人に迷惑をかけてはいけないと言った内容の話に続き、人間とは何か、いのちとは何かを問うことで、人間は人間になってきたともいえる。

自分がいのちというものをもっていて勝手に処分できるようなものでもないし。自分を標準にしていのちを考えて、他のいのちを排除できるようなものでもないのです。と結ばれていた。

 

多くの人を殺めたこの元施設職員の青年が「心失者」という言葉を使い、その様な気持ちで事件を起こしたということに衝撃を受けた。

そういえば政治家にも・・・

(終末期医療について)さっさと死ねるようにしてもらわないとか、考えないといけない。(麻生)

女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄で罪です”(石原元知事)

「ああいう人ってのは、人格があるのかね」(障害者施設訪問時で石原元知事)

「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」 (杉田水脈議員)

又、ゲノム編集という技術を用いて牛や豚の筋肉を抑制する遺伝子を壊すと筋肉もりもりの牛や豚ができ、実際にもう行われているということや、人間についてもこうした遺伝子操作で子どもを望みに合わせてデザインすることも可能でしょうと話されている部分では改めて事実なのだと思うと何だか怖くなってきた。

 経済効率優先の世のなかにあって如何に生きるかが問われる内容だった。

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