「ハーバード大学を出てお金持ちになってそれで君は幸せになったか?僕は学校も出ていない貧乏だけど・・そういう君と僕が同じようにこの場所で死のうとしている・・・・」
最近見ているテレビドラマの中の言葉が妙に心に残っている。
ずーと前に読んだ吉川英治の新・平家物語はまるで紙芝居を見ているようで面白く読んだが、その最後の場面も心に残っている。
崇徳上皇の水番から町医者になった麻鳥と妻が年老いて自分達の辿ってきた人生を語り合う場面だ。
本の中身は「●盛」「●盛」という名前ばかりが出てきてこれを覚えるのが大変だったが随分面白かった。
今では筋書きも殆ど覚えていないが、不思議とこの最後の部分は忘れられない。
麻鳥は架空の人物だが、歴史上に出てこない普通の人を最後に持ってきて語らせるこの場面でいろいろ考えさせられた。
平家一門の盛衰を目の当たりにして、「生きていくとは?幸せとは」と影の主人公の麻鳥を通して読むものに問いかけているようで、これが本のテーマではなかったかと思った。