ものの形もそうだが、ものの色も似ているとついカメラを向けたくなる。
剥げかかった門扉の色も、赤褐色の車の色も、どちらか一方だけでは目に付かないが、同じような色の別のものが一度に視野に入ってくると、何かを感じる。
その何かに意味はない。
人間は、比べても意味のないものを比べてみたがる。
出自も、生活環境も、己のものは己のものとして受け入れるしかなく、比べることにほとんど意味はない。
この種の無意味な対比から生み出されるのは、とかく争いごとの種になるような嫉妬の感情がほとんどである。
だが、色を比べることは、罪のない遊びにはなる。
色比べが仕事だという人もいるが、ひとの遊びの手伝いだから、やはり遊びだろう。
そういうのは遊び仕事とでもいうのか。