民意という怪しげな言葉が横行しています。
この言葉は、「民意を問う」と言われるときには正常に使われます。
民意を問うのは、民意を尊重したいからで、民意の尊重は民主主義の原則であることに異論はないでしょう。
ところが、自説に合うように仕組まれたアンケートの結果でも、集計した数字に民意のシールが貼られます。
方法がどうであれ、「世論調査」という名目のもとに行われたアンケートの集計値を指して、「これが民意だ」「民意に従うのが民主主義だ」と言われだすと、はなはだ怪しいものになります。
「これが民意だ」は、「そうですか」と黙り込む空気をつくる触媒にもなります。
民主主義を無条件で信奉する人々は、その怪気充満になかなか気付きません。