南無煩悩大菩薩

今日是好日也

三方よし

2019-11-17 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。
(gif/source)

その昔、二宮尊徳翁が、広大な竹林を金をかけずに畑に変えられないか、とある人から相談を受けた。

翁は一年猶予の条件つきでそれを引き受けた。

春先、竹林に生えたタケノコを、無料で人々に開放し掘らせた。

あいた穴に山芋を植えた。

そして竹を伐採し、はげ山にした。

秋になるとこれまた無料で山芋を掘らせた。

山芋は深く掘らないと収穫できない。

かくて竹林は、大勢の人の手で労せずして掘り返された。

竹の根も燃料に配られた。

そうやって誰も損することなくウィン・ウィン・ウィンのうちに、ただで畑地ができたという。
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直線と円環

2019-11-03 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。
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刻苦して泰然、その経験のない人生はたとえば直線のようでもある。

直線は、いかに延長するも、ついに直線を出ることはない。

それが円となるには、直線は自らの進路を遮断され、無限にその方向を転ずることの極みにして、はじめてついに円と成る。

つまり壁にぶつかって綺麗に角なく曲がり順繰り素直に曲がるということである。

世間一般で言う「まるい人」はすべからくそのように直線を円に変換できるぐらいのパイを持ち合わせていたのではないだろうか。

Pedro Meirelles | ARRHYTHMIA
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こころに栄養

2019-10-28 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。
(photo/source)

認識のための新しい器官は、必要の結果、生じる。

おお、それゆえに、人間よ、

おまえの認識を高めるために、必要性を増大させよ。

-ジャラール・アッディーン・ルーミー

Saint-Saens : The Swan ( Le Cygne ) - Carnival of the Animals


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詩情喩え雲

2019-10-26 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。
(gif/source)

丘の上で
としよりと
こどもと
うっとりと雲を
ながめている

おうい雲よ
ゆうゆうと
馬鹿にのんきそうぢゃないか
どこまでゆくんだ
ずっと磐城平の方までゆくんか

雲もまた自分のようだ
自分のように
すっかり途方にくれているのだ
あまりにあまりにひろすぎる
はてのない蒼空なので
おう老子よ
こんなときだ
にこにことして
ひょっこりとでてきませんか

-山村暮鳥

とても綺麗な空の青さにぐっときたり、ふと見上げた行雲にすくっと心があらわれたり。

喩えようもない感慨に遊べるということも愉快や愉快なことのひとつである。

ありがたい。すぐれた詩を少し知っているだけで、凡夫でもより豊かに風情を楽しめることだけは確かである。

山村暮鳥さんはかってこんなことを言っている、「詩が書けなくなればなるほど、いよいよ、詩人は詩人になる」。
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日々是好日

2019-10-21 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。
(gif/source)

決してどうすれば日々是好日となるというのでもなければ、何でもない。

元々われわれには何にもなかった。

それをいかにも何かあるように錯覚で右往左往していたのである。

つまり要るように思えていたものが、なあに要らぬものであったことさえハッキリすればいつでも日々是好日、年々是好年である。


凡夫というものは自分を本当に自分と思っておって、自分が喜び自分が悲しんでいると思って、一生終わってしまうものである。

しかし幸福の、不幸のというものはただ思うだけであって、本当の処は何でもないじゃないか。

-澤木興道禅師

Dave Brubeck Quartet - Koto Song
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熱への忠告

2019-07-22 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。
(picture/source)

“If you want to make God laugh, tell him about your plans.”

― Woody Allen

Heinrich Ignaz Franz von Biber - Partia I in D minor


たとえば、知りもしない死について知っているかのように怖がったりするようなことを、神は笑う。とでもいいたげなのが天使というものかもしれない。
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照鏡見白髪

2019-07-07 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。
(picture/source)

シュッセシヨウト思ウテイタ二

ドウカスル間二トシバカリヨル

ヒトリカガミニウチヨリミレバ

皺ノヨッタヲアハレムバカリ

-井伏鱒二


あまがける こころ は いづく しらかみ の みだるる すがた われ と あひ みる

-会津八一


宿昔ノ青雲ノ志

蹉跎タリ白髪ノ年

誰カ知ラン明鏡ノ裏

形影自ラ相憐レムコトヲ

-張九齢
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うすひき歌

2019-06-02 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。
(gif/ “Japan art not leading to masterpieces born”)

不生不滅のこの心なれば 地水火風はかりの宿

生まれ来たりしいにしえ問えば 何も思わぬこの心

来る如くに心を持てば じきにこの身が行き如来

よしもあしきも思いしことは おのがこの身のある故ぞ

冬の頃しも喜ぶたき火 夏の来るほどあらいやや

夏の頃しも恋しき風も 秋のはてぬに早にくむ

金を持ったりゃ貧者がいやし 持たぬ昔を忘れたか

鬼の心であつめた金を がきに取られて目がもうた

金がほしさに命を捨てて すてて見たれば金いらず

惜しやほしやと思わぬ故に 今は世界が我が物じゃ

恋しゆかしもただ今ばかり 会わぬ昔が有る故に

思い出すは忘れぬ故に 思い出さねば忘れぬよ

昔思えば夕べの夢じゃ とかく思うは皆うそじゃ

夢と思えば浮世の中に らくもつらきも無き物を

つらき浮世とうらむる人は 夢に心を苦しむる

とかく浮世はもと無いものじゃ 心とめよりただうたえ

過去も未来も本心ばかり 心とめより思い切りやれ

心とめずば浮世はあらじ 何も無きこそ生如来

我と作りし心の鬼が 責めて苦しむ身のとがを

悪をつくれば心が鬼じゃ 外に地獄は無きものを

地獄ぎらいの極楽ずきで 楽な世界に苦をうけた

悪をきらうを善じゃと思う きらう心が悪じゃもの

善をしたこと善じゃとうじゃる うじゃる心が悪じゃわい

善しも悪しきも一つにまとめ 紙につつんで捨てておけ

奇妙不思議は一つも無いぞ 知らにゃ世界が皆不思議

うその世界をまことのように ばかしゃばかさる化け物じゃ

いつか五欲を身にならわして それに習うて日を暮らす

人におしえはもと無いものじゃ 是非を争う我が身なり

迷い悟りはもと無いものじゃ 親も教えぬならいもの

さとる心は我じゃと思え 念と念とが相撲とる

さとろさとろとこの頃せねば 朝のねざめも気が軽い

後世を願うとひいきを願う いとど我慢をそえかけて

後世づとめもこの頃いやと 出入りの息のありしだい

内の仏にゃそりゃまだ早い 門の仁王にまずなりやれ

われと浄土をたずねて見たら けっく仏にきらわれた

人はかたきはもと無いものじゃ 是非をあらそう我がなる

因果歴然わがなすことを 知らで迷うは身のひいき

有為の転変身にならわして それに迷うは己が損よ

無為の心はもとより不生 有意が無き故迷い無し

年は寄れども心はよらじ いつも変わらぬこの心

うれしめでたや老いせぬ君に 尋ね会うたりや我ひとり


人が茶碗をからりと投げば 我は機用の錦で受けよ


-「盤珪禅師逸話選」より
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豊かさマインド

2019-05-24 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。
(cartoon/source)

 汝の正当な奇妙さを発達させよ   -ルネ・シャール
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漂泊のおもい止まず

2019-04-28 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。
(gif/source)

知らない海をながめてみたい、ではなく。

知らない海をながめていたい、のである。

『遠くへ行きたい』渥美清
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人は来んような。

2019-04-22 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。
(図/仙厓和尚)

仙厓禅師は脱糞の図にこの賛をつけた。

思うのは、うんこのようなものは人の来んようなところでなさねばならないもののひとつである。

それから、うんこやおしっこをしたくてたまらないようなときに、ものごとを決めたりするようなことは慎むべきである。

というような教訓である。
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たしなみ

2019-04-08 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。
(photographer/Maurizio Buscarino)

たしなみは、平常ふだんの用意であります。かかることもあろうかと、用意し、作り、植えたのであります。それですから、万一の時の役に立つのであります。

用意をしながら、その時がとうとう来ずにしまっても落胆ということばとは縁のないこと。その用意こそ、いわゆるたしなみであります。

たしなみということは、効果如何を考えず、責任として尽すところに価値があります。誰への責任でしょうか。誰への責任でもありません。自分の職分としての責任であります。

維新時分の達識の人が、天を相手にすると言った意味です。人に知られず、効果を考えず、深く自分の職分を考えて、その準備を深めて行く。そのことに楽しみを持って行く。

これが本当のたしなみであります。故にたしなみという言葉には奥床しさという感じが伴います。
 
人に知られず、効果に現れずとも、たしなみの深い人には、奥床しさがほのぼのと立ち上がるものであります。気配というものは正直なものであります。

ある一事についての深いたしなみは、もうそのことの上のたしなみだけでなく、人間上のものになって来ます。

-岡本かの子「仏教人生読本」より

「平常心」と「不動心」ということについておもってみたりすることがある。

物事に際して、こころ常に平らで、こころ動ずることなく、接することが出来ればそれは大人(たいじん)とうものだろうし、そこにいたるも、たしなみ如何の成果であるのかもしれない。
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未来の私から今の私への便り

2019-03-27 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。
(quote/Dr. Seuss)

宜しくお願いします。

将来の私にとって一番頼りになるのは今のあなたしかいないのですからね。
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愛さずにはいられない

2019-03-25 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。
(写真/永井荷風)

‘I like you’ と ‘I love you’は、どう違うのでしょう。

佛陀はこんな風に表現したようです。

その花をあなたが好ましく思うならば、そのままその花を摘んで手に入れたくなるでしょう。

その花をあなたが愛おしく思うならば、そのままその花に毎日水やりをして見守るでしょう。

その理解は人生の理解にも通ずる、と。

その意味において荷風さんもたぶん、女性たちを愛する人だったのでしょう。

UB40 CAN'T HELP FALLING IN LOVE
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たとえば盥の水のはなし。

2019-02-18 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。
(quote/source)

昔からのはなしに、

たらいの湯を自分の方にかき寄せたら、湯は手前に流れてくるように見えるが、実際は向こうに逃げていく。

反対に向こうに押し出せば押し出すほど、湯はこちらに戻ってくる。というものがあります。

人生も商いにしても、欲をかいて自分の利益や都合ばかりを考えていたらみんな逃げていく。まず与えることが肝要である。

と、気付いた途端に、したこともされたことも同じなりわいだと思えるようになります。

そういう信心があってもしかるべきだと思わされるのです。

‘欲深き人の心と降る雪は、積もるにつれて道を失う’ -高橋泥舟


(cartoon/original unknown)
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