南無煩悩大菩薩

今日是好日也

あるひとつの偶然。

2008-04-12 | つれづれの風景。

一本の細く見えない糸が、二つの枯葉を結びつける。

彷徨うように揺れる二枚の葉は、同心円を描きながらも決してその軌道を外れようとはしない。

浮揚力と拘束力と重力の均衡の上で、私の目に映る枯葉は地に落ちることを拒み続けている。


ある意図が、この糸にあったはずはなく、いくつかの偶然が産みだした束の間の景色でしかない。

蜘蛛はどこにいった。

糸は何故残った。

葉はいつ枯れた。




風化。という営みの中で、偶然にもそのランデブーを余儀なくされた時のいたずらである。


早める必要も遅らせる必要も無い。やがてはなくなるその途中。

たまたまここでめぐり見ただけの風化の途中。あるひとつの偶然。



あとは野となれ山となれ。


通り過ぎるおいて、これほどふさわしい言葉はないのだと私は言い聞かせた。


コメント
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