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置き所の拙い「こそ」
(夫)貴様みたいなお多福婆を、わしでありゃ「こそ」置いてやる。
(妻)私なりゃ「こそ」辛抱もするが、誰が見るぞぇ痩所帯。
(地主)あれがああして暮らしてゆくも、こちらが田畑を貸せば「こそ」。
(小作)地主の田畑の荒れずにいるも、わたしが小作をすれば「こそ」。
(親)誰のおかげでそうまでなった、俺が学校行かしゃ「こそ」。
(子)学校させてもみんなは出来ぬ、私が勉強したりゃ「こそ」。
置き所の巧い「こそ」
(夫)外で私が働けるのも、内をそなたが守りゃ「こそ」。
(妻)私みたいな不束者を、あなたなりゃ「こそ」親切に。
(地主)田畑作らず暮らしが立つも、小作する人あれば「こそ」。
(小作)我が田なくても暮らしていける、これも地主があれば「こそ」。
(親)あの子なりゃ「こそ」出世もしたよ、苦労したのも甲斐がある。
(子)今日の私の出世もみんな、親の苦労があれば「こそ」。
「こそ」と威張ってこちらにつけりゃ、何を小癪と喧嘩腰。
「こそ」とあがめて向こうにつけりゃ、にっこり笑ってあなた「こそ」。
(参照/八波則吉「道和清談」より)
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