以前読んだ、椎名誠さんの文。アメリカ留学に出発する娘さんを、成田空港に見送りに行った時のこと。氏は息子さんのことはよく綴った。それが「岳物語」。しかし娘さんのことは書かなかった。だから岳少年に姉がいるとは知らなかったほど。娘さんは、「自分のことは一切書かないでほしいと」お父さんにお願いしていたからとのこと。こういったくだりが紹介というか暴露されたのは、娘さんが成田空港を出発するその瞬間を書いた時と記憶する。確か、『青春と読書』掲載だったかと。もし違っていたら、椎名さん、御勘弁下さい。なにしろこれを読んだのは、もう15年近く前のことだと思うので。
搭乗券を投入し、手荷物検査を受けるゲート。そこから先はもう外国。すなわちここは見送りの最終ポイント。そこで出発する娘さんをご夫婦二人で見送ったとのこと。見えなくなる後ろ姿を追うけど、最後まで娘さんは「振り向かなかった」。少し寂しい、でも、前を見ている若者はそれで良いと思ったこと、そんな文章がいたく心に響いた。
当時自分は前ばかり見ていた。後ろで見送る人の視線に気づかないでいた。
振り向かない者の気持ちはわかる。たしかに若者は振り向かないで良いと思う。
そして、見送る人の気持ちがわかる年齢に達した今。
搭乗券を投入し、手荷物検査を受けるゲート。そこから先はもう外国。すなわちここは見送りの最終ポイント。そこで出発する娘さんをご夫婦二人で見送ったとのこと。見えなくなる後ろ姿を追うけど、最後まで娘さんは「振り向かなかった」。少し寂しい、でも、前を見ている若者はそれで良いと思ったこと、そんな文章がいたく心に響いた。
当時自分は前ばかり見ていた。後ろで見送る人の視線に気づかないでいた。
振り向かない者の気持ちはわかる。たしかに若者は振り向かないで良いと思う。
そして、見送る人の気持ちがわかる年齢に達した今。