気になるキーワードや製品のコレクション(IT編)

メルマガ、新聞、雑誌などに登場する(増田悦夫の)気になるキーワード、製品を取り上げ、ITの進展をフォローします。

“高精細3次元地図”とは

2018-07-27 23:43:56 | 自動化・自動運転・自動走行など

我が国政府は2020年までに高速道路での自動運転の実現を目指していますが、「高精細3次元地図」は、自動運転車には不可欠な地図となります。即ち、自動運転車は、センサーを利用して周囲の状況を読み取り、そのデータを高精細3次元地図と照合して自車の現在地を特定しながら走行します。

自動運転車は、自らの位置や周囲状況を正確に把握する必要がありますが、現状のカーナビ地図では、立体交差や坂道、車線などの情報が分からずより高い精度の地図が求められます。高精細3次元地図は、道路の傾斜や構造、車線、標識、周辺の建物などが盛り込まれたデジタル地図です。

なお、自動運転には、高精細3次元地図を基盤として、ダイナミックに変化する渋滞、事故、路面、通行規制の状況などのリアルタイムな情報も盛り込まれる必要があります。このように盛り込まれた地図が「ダイナミックマップ」と呼ばれます。即ち、静的な地図に動的情報を重畳したリアルタイムの地図がダイナミックマップです。

高精細3次元地図は、2016年6月に「ダイナミックマップ基盤企画(DMP:Dynamic Map Platform)」(注:三菱電機、ゼンリン、パスコ、アイサンテクノロジー、インクリメント・ピー、トヨタマップマスター+自動車メーカー9社:いすゞ、スズキ、SUBARU、トヨタ、日産、日野、本田技研、マツダ、三菱)として設立され、2017年6月に名称変更された「ダイナミックマップ基盤(DMP:Dynamic Map Platform)」(注:上記各社+産業革新機構、ダイハツ工業)により、基盤部分が整備され、そこに各社が情報を追加して自動運転向けの高精細地図に仕上げられるようです。

プレスリリース(2017.6.14)のサイトは、https://response.jp/article/2017/06/14/296079.htmlです。


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“自動運転レベル”とは

2018-03-16 23:41:15 | 自動化・自動運転・自動走行など

首相官邸より発行された「官民ITS構想・ロードマップ2017」(2017.5.30)では、自動運転のレベルの定義が、SAE(Society of Automotive Engineers)internationalのJ3016(2016年9月)の6レベル(レベル0~5)の定義に変更されています。

それまでは、米国NHTSA(運輸省道路交通安全局、2013年5月)を参考に5レベルの定義を採用していましたが、NHTSAもSAE J3016を採用することになったことを踏まえ、SAEの6レベル定義を採用することに変更されたようです。

即ち、以下のようなレベルとなっています。

レベル0(運転自動化なし):運転者が全ての運転タスクを実施

レベル1(運転支援):システムが前後・左右のいずれかの車両制御に係る運転タスクのサブタスクを実施

レベル2(部分運転自動化):システムが前後・左右の両方の車両制御に係る運転タスクのサブタスクを実施

レベル3(条件付運転自動化):システムが全ての運転タスクを実施(限定領域内)。 作動継続が困難な場合の運転者は、システムの介入要求等に対して、適切に応答することが期待される。

レベル4(高度運転自動化):システムが全ての運転タスクを実施(限定領域内)。作動継続が困難な場合、利用者が応答することは期待されない。

レベル5(完全運転自動化):システムが全ての運転タスクを実施(限定領域内ではない)。作動継続が困難な場合、利用者5が応答することは期待されない。

 上記で、レベル3以上は「高度自動運転システム」と呼ばれ、また、レベル4と5は「完全自動運転システム」と呼ばれます。安全運転に対応する主体は、レベル0~2では運転手(人間)、レベル3~5はシステムとなります。なお、レベル3において、システムの作動継続が困難な場合は運転手となります。また、レベル3~5に登場する「限定領域」という言葉の「領域」とは、単に地理的な領域のことを指しているだけではなく、環境、交通状況、速度、時間的な範囲なども含まれている点に注意が必要です。 

早ければ2020年頃になるとレベル3以上の商用化も始まりそうですが、そのためには、これまでの関連法規を改定しないといけませんので、法の整備の検討も急ピッチですすめられつつあります。

関連ブログ(自動運転の技術レベル、2017.4.13)は、https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/3fdb6b350c4dfb334399d87cfd7db371です。

別な関連ブログ(自動運転車、2016.5.26)は、https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/e6e87e7025bad08b2d6e543ed2922b99です。


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“コネクテッド・ロード(つながる道路)”とは

2018-02-21 23:43:31 | 自動化・自動運転・自動走行など

人間が操作しない自動走行車とつながり安全な運行を支援するための道路インフラのことです。

どんなものかは、まだ固まっていないようですが、「コネクテッド・ロード」のイメージとしては、(1)道路標示材として自動運転のカメラやセンサーで認識しやすいものが使用されたり、(2)標識に、車だけが読み取りできる情報をスマートサインとして埋め込んだり、(3)交通情報をリアルタイムに伝送するビーコンが路側に設置されたり、などがイメージされたもののようです。

人間(ドライバー)が車を運転操作することを前提に実現されてきたこれまでの道路は、人間が信号機や標識などを目で見て判断するように出来上がっていると言われています。しかしながら、人が運転操作をしない自動走行車には必ずしも最適とは言えないようです。道路の標示材など自動走行車のカメラやセンサーではうまく認識できない場合もあるようです。

自動走行は車と道路がつながった1つのシステムと考えられ、安全走行を実現するためにコネクテッド・ロードが不可欠とも言われています。

なお、米スリーエムは、自動走行車が認識しやすい道路標示材を2019年に実用化する予定のようです。

関連ブログ(“V2X”とは、2018.1.21)のサイトは、http://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/70b78725f3d5a4b378bcf187f221324aです。


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“自動運転車の公道実験(ZMP)”とは

2017-12-29 23:04:54 | 自動化・自動運転・自動走行など

自動運転技術の開発を手掛ける新興企業のZMP(注:2001年1月30日設立、東京都文京区)が、2017年12月14日に実施した、運転席に誰も乗っていない自動運転車の公道における実証実験です。

ZMPは、2017年12月14日、東京都の支援を受け、江東区の道路上で約150mの走行実験を日本で初めて行ったようです。20km/hの速度だったようです。自動運転の技術レベル(※)は「レベル4」(注:人が運転に関与しないレベル)に該当するようです。

※ 関連ブログ("自動運転の技術レベル"とは、2017.4.13)は、http://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/3fdb6b350c4dfb334399d87cfd7db371です。

車のカメラやセンサーなどを用いて3次元地図上での走行地点を把握しながら、ハンドル・ブレーキなどを自動制御し、走行します。車載カメラの映像を遠隔でモニターしながら行ったようです。公道での遠隔型自動運転実証実験のガイドライン(注:警察庁策定、2017.6)に則ったもののようです。

なお、同日には、愛知県でも、別な企業(アイサンテクノロジー)が同様の自動運転実験を行ったようです。

関連の報道記事のサイトは、https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24638520U7A211C1X11000/です。

ZMPのニュースリリース(2017.12.14)のサイトは、https://www.zmp.co.jp/news/pressrelease_20171214-2です。


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"CarriRo Delivery(ZMP)"とは

2017-11-03 23:27:55 | 自動化・自動運転・自動走行など
ロボット開発ベンチャーであるZMPが、2017年5月に発表した、消費者の元へ自ら走行する宅配ロボットです。

「日本初、歩道を自動走行する宅配ロボット」「歩道の自動走行を目指す宅配ロボット」といったフレーズがつけられています。

ZMPは、物流現場の人手不足問題解消に貢献することを狙いに、2014年に物流支援ロボット「CarriRo(キャリロ)」の開発に着手し、2016年より出荷を開始していますが、今回のCarriRo Deliveryは、宅配や食品配送業界の配達員不足という課題解消および買い物弱者と呼ばれる人々の買い物支援を狙っているとのことです。

CarriRo Deliveryは、宅配ボックスを搭載し、レーザセンサとカメラで周囲環境を360度認識しながら最大時速6kmで自動走行するようです。また、遠隔監視を行うとともに必要に応じて遠隔操作も可能にするとのことです。

サイズは1330(全長)x750(幅)x1090mm(高さ)、重さは90kg、積載重量は100kgなどとなっています。

2017年8月~、実証実験の第1弾として「銀のさら」を展開するライドオン・エクスプレスと寿司のデリバリーサービスを行っているようです。また、10月~、森ビルと共同で実証実験をしているようです。

プレスリリース(2107.5.18、同7.13、同10.6)のサイトは、http://www.zmp.co.jp/news/pressrelease_20170518-1?lang=jp、http://www.zmp.co.jp/news/pressrelease_20170713、およびhttp://www.zmp.co.jp/news/pressrelease_20171006?lang=jpです。


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"SAE J3016"とは

2017-07-18 23:26:40 | 自動化・自動運転・自動走行など

”SAE(Society of Automotive Engineers、アメリカ自動車技術会)”と呼ばれる団体が発表している、自動運転に関する6段階(レベル0からレベル5)の定義のことです。

2014年1月に発表されたようですが、その後2016年9月に見直され、現在に至っています。各レベルの定義は以下のようになっています。

レベル0:運転自動化なし(運転者がすべての運転タスクを実施)

レベル1:運転支援(システムが前後・左右のいずれかの車両制御にかかわる運転タスクのサブタスクを実施)

レベル2:部分的運転自動化(システムが前後・左右両方の車両制御にかかわる運転タスクのサブタスクを実施)

レベル3:条件付き運転自動化(システムが全ての運転タスクを実施するが、フォールバックにおいては利用者が介入、運行設計は限定的)

レベル4:高度運転自動化(システムが全ての運転タスクを実施するが、フォールバックにおいては利用者の介入なし、運行設計は限定的)

レベル5:完全運転自動化(システムが全ての運転タスクを実施、フォールバックにおいては利用者の介入なし、運行設計も限定なし)

我が国では、従来、自動運転に関する定義をレベル4までとしていましたが、今後の自動運転の世界標準化がSAEに準拠する可能性を睨み、2017年5月に、米国の基準に合わせたようです。政府の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部から発表された「官民ITS構想・ロードマップ2017(案)」(※)の中に記載されています。

※ http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai71/siryou3-3.pdfの資料を参照

従来の定義については、下記の関連サイトを参照

http://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/e6e87e7025bad08b2d6e543ed2922b99(“自動運転車”とは、2016.5.26)

http://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/3fdb6b350c4dfb334399d87cfd7db371("自動運転の技術レベル"とは、2017.4.13)


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"完全自動配送トラック(ダイムラー)"とは

2017-06-20 23:30:19 | 自動化・自動運転・自動走行など

独ダイムラーが、コンセプトカーとして発表した、あるいは現在開発中の、完全自動運転時代の配送トラックです。

ひとつは、ドローンによる配送事業を手掛ける米「Matternet」(2011年設立、本社:Mountain View, California)と組み、ドローンが発着できる仕組みを備えたコンセプトカーで「The Vision Van」と呼ばれています。

さらに、これとは別に、配送ロボットメーカーの米「Starship Technologies」(2014年設立、本社: San Francisco,California)と組み、配送ロボットの発着機能を実装する配送トラックの開発を進めているとのことです。

上記2つの配送トラックとも、届け先の近くまでは配送トラックで運び、その先の届け先まではドローンや配送ロボットを使用するようです。

米フォードも、配送トラックとドローンとを組み合わせた同様の配送ソリューションを検討中のようです。


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"プラッターオート(ニチユ三菱フォークリフト)"とは

2017-04-22 23:45:15 | 自動化・自動運転・自動走行など

「ニチユ三菱フォークリフト」(注:三菱重工業のフォークリフト事業が分社化し、2013年4月1日に子会社としてスタート)が、2017年4月1日に発売開始した、レーザー誘導方式の無人フォークリフトです。PLATTER Autoと綴ります。

従来の無人フォークリフトは「磁気誘導式」を採用しており、床に磁気を埋め込む必要がありました。

今回の製品は、レーザースキャナで反射板を検出し、測位によって自分の位置を把握しながら走行するようになっています。そのため、導入時に床面工事が不要となるため、借用の物流拠点など床工事ができないような現場へも導入が可能となります。

従来方式に比較し、導入時には工事費用の削減や工事期間の短縮が可能となる他、導入後にもし走行ルートの変更が必要になった場合にも容易に変更が可能となる、などのメリットが期待できるとのことです。

プレスリリース(2017.4.1)のサイトは、http://www.nmf.co.jp/news/img/n170403001.pdfです。


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"自動運転のトロッコ問題"とは

2017-04-14 23:17:22 | 自動化・自動運転・自動走行など

完全自動運転の実現に向けての課題のひとつとして挙げられている倫理問題です。

即ち、乗客を乗せた自動運転車が横断歩道に差し掛かりそこへ歩行者が現れた場合、①ブレーキを踏んでも間に合わずそのまま走ると歩行者をはねざるを得ず、②一方、ハンドルを切っても障害物にぶつかって乗客を死なせてしまわざるを得ない、ような時、どちらを選ぶべきか、という問題です。

マサチューセッツ工科大(MIT)では、ホームページ上で、種々の状況を想定した場合のアンケート調査を実施しているようです。

完全自動運転車のシステムには人工知能(AI)が組み込まれますが、そのAIには倫理観も備わっている必要があります。そのためには、今回のような倫理問題の答えを人間が用意できていなければならないということです。


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"自動運転の技術レベル"とは

2017-04-13 23:17:22 | 自動化・自動運転・自動走行など

2020年の高速道路での自動運転の実現に向け、「官民ITS構想・ロードマップ2016(※)」の中で示された4つの技術レベルです。

※政府が2016年5月に発表。下記サイトを参照  http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20160520/2016_roadmap.pdf

具体的には、以下のようになっています。

レベル1「単独型」:アクセル、ハンドル、ブレーキのうちのいずれかひとつの操作をシステムが行うもの。例.自動ブレーキ、先行車の追従走行、車線内走行、など

レベル2「システムの複合化」:上記3つの操作のうちの複数の操作をシステムが行うもの。例.車線の自動変更、自動追い越し、など

レベル3「システムの高度化」:上記3つの操作をすべてシステムが行うもの。但し、システムから要請があるときは人間が対応する。

レベル4「完全自動走行」:上記3つの操作について人間は(緊急時以外)全く関与しないレベル。

なお、実用化の時期については、レベル1は2017年3月時点ですでに実用化が開始されており、レベル2は2019年以降、レベル3は2021年以降、そしてレベル4は2026~30年頃と設定されています。


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