『象にささやく男』(ローレンス⁼アンソニー&グレアム⁼スペンス著:中嶋寛訳)を
読みました。
はっと気がついたら明け方になっていました。
昨夏帰阪した時にアマゾンリサイクルショップで買ったのですが、
選挙、北海道への帰省、広島行、沖縄行などのスケジュールが怒涛のように押し寄せ、
「ただ買っただけ」状態だったものです。
昔、『野生のエルザ』が話題になりましたね。
あの当時、私はひねくれていたので(笑)、
小学校の道徳の時間の副読本に書いてあった(50年も前のこと)、
シュバイツアーのアフリカ人に対する上から目線(副読本では、
「白人と黒人は兄弟だ。しかし、白人は黒人の兄だ。」とあったのです)に、
子どもながら胡散臭さを感じたのと同じで、
エルザとイギリス人夫婦の話に対しても、
(まず、白人がアフリカに居るって何なん?アパルトヘイト、どう思ってんねん)と、
その子どもライオンと白人夫婦の交流話に積極的に乗ることはありませんでした。
今回、象を敬愛する私がほぼタイトルだけで買った『象にささやく男』を読んで、
アフリカの自然環境保全に関しては、
(金持ち白人の趣味の猟など歴史的にいろいろ酷いことがあったにしても)
この時代において白人たちの果たした役割はあったんだなと
初めて心から認めることができました。
この本を書いたローレンス=アンソニーという人は、
アパルトヘイト下の南アフリカ、ヨハネスブルクで生まれ、
地元言語のズールー語も理解するイギリス系白人で、
彼にとってアフリカは故郷でした。
アフリカの歴史はアパルトヘイト以前の昔に戻せないけれど、
アパルトヘイト以降の黒人と白人の新たな歴史を作ることは不可能ではないと思える本、
世界は黒人、白人、カラードとかいう人間だけでなく、
動物も昆虫も植物も全部含めてこそ、
その全体が成り立つことを示す本、
そうした自然全体への謙虚さを持つ人が書いた本でした。
生きる基礎基本を確認するのに役立つ本だと思います。
前書きの最後に次の文があります(太字・ブルーはーと)。
「・・・これは、そんな象たちの物語である。彼らはともに幸福と生存を追い求める中、
全ての生き物がお互いにとって大切な存在であることを、私に教えてくれた。
生きていくということは、
自分や自分の家族、自分の種だけの問題ではないということを。」
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