四半世紀前、私の教え子だった徹也君。
こんな立派な大人になったてっちゃんと今日、再会できました。
ダウン症の徹也君が大阪市の小学校1年生だったとき、
徹也君のクラスのみんな(1年生)は初め、
困ったり、考えたりしました。
どうしたら分かってもらえるか、
どうしたら一緒に楽しく過ごせるか、について。
ちょうどその頃の徹也君はやんちゃ盛りで、
教室の金魚の水槽に固形石鹸を入れてかき混ぜたり、
みんなが校庭の隅に植木鉢を並べ、毎日水を遣って
成長を楽しみにしていたチューリップの芽の先を
鋏で一本いっぽんチョキン、チョキンと切ったり、
中庭の池の傍に立つ友だちの背中をポンと押して
池にはめたり……。
その度に、クラスのみんなはカンカンになって怒り、
「てっちゃん、どうしてそんなことするの!」
と怖い顔をして徹也君を睨みます。
それにも拘らずクラスのみんな、徹也君が大好きでした。
徹也君が大声で
「わーん、ごめんなさい!!」
と涙を流しながら謝罪する態度があまりにも率直で見事なので、
みんな心から気の毒になり、
「いいよ。今度からしないでね。」
と水に流すのです。
数日後、また次のいたずらでカンカンになるのに(笑)。
てっちゃんは、楽しいときは心から楽しそうに笑うので
クラスのみんなにその楽しさが移っていきました。
歌が大好きなてっちゃんは、たくさん歌を知っているので、
みんなてっちゃんに歌を教えてもらいました。
てっちゃんがチューリップの芽を
チョキンチョキンと切ってしまったとき、
私が「チューリップさんが痛い、痛いって言っているよ!」
と叱ると、「ほんと?」と言って
チューリップに耳を近づけてジッと聴いていた姿は
今も忘れられません。
負けん気が強くて、喧嘩した相手の筆箱を窓から投げた徹也君。
遠足の前の晩は緊張してお腹を壊した徹也君。
徹也君が進級して私が担任でなくなったとき、
私の教えている教室に来て、ずっとここにいると言い張り、
座り込んだ徹也くん。
・・・・・・
どれだけたくさんのものを徹也君からもらったか、
言葉では到底言えず、
ただ想い出のほんのちょっぴりをここに書きとめるのみです。
命は育つもの。
命は守るもの。
今日は、大人になった徹也君のお気に入りの曲を教えてもらいました。
「以心伝心しよう」(上谷麻紀)
「瞳そらさないで」(DEEN)
「DAN DAN心惹かれてく」(FIELD OF VIEW)
このうち1曲だけでも中国の学生たちに紹介しようと思います。
時には困らせられたという徹也君、でもこんなに立派に成長して、嬉しい事ですね。
この笑顔が恩師を慕っていることを何より証明していますね。
人生には、時に奇跡のような体験があるとつくづく思います。この徹也君とクラスメートの子どもたちとの出会いがそうでした。
それまで知床半島出身のひねくれ者(笑)だった私ですが、「人間は信頼に値すること」、「ものごとは単純に、率直に考えることが真実への近道であること」をこの神様たちに教えてもらいました。私の「恩師」は徹也君とクラスメートの子どもたちです。