最終日は早起きをして、朝一のふかふかバーンを踊るように滑ろうと
昨晩話し合いました。
7時04分の日の出にあわせて朝風呂を浴び、
8時のカーネーションを見てから朝ごはん。
あまり食べ過ぎないようにして、9時から動くリフトに、
ちょっと遅れるくらいのタイミングで出かけることができました。
結構、スリリングな時間との戦いでしたが。
一気に1200メートルへ上がると、大粒の雪。
しかしボタン雪とは違い、結晶が絡み合って大粒になっているのですから、
さすがに寒気団の強さが違う北海道です。
彼の体重でも、置くだけで簡単に半身が埋まる、
ふかふかの羽毛に良く似た雪です。
北海道の魅力の一つは、地球を身近に感じることにあると
常々思っております。
快晴に恵まれた今日、特に雲すらほとんど無い午前中には
その思いを強くしました。
富良野牛乳とヨーグルトを朝ごはんにいただいて、お腹の中を
昨晩のバイキングに引き続き、ご当地モードに仕上げていく私たち。
ゲレンデに出て富良野スキー場のリフト頂上から見渡すと、
空の向こうに立ち並ぶのが、十勝岳、富良野岳、上ホロカメットクなどの
火山活動が作った山々。眼下に望むのが、空知川が彫り上げた富良野盆地。
そして、その中間に台地状に残された麓郷や八幡丘など。
しかも雪で覆われ、人の営みが平らかにされているため、なんとなく古代でも
同じ風景が見られたに違いないと思うのです。
大きな気分で飛び込む斜面は、雪質も上々で、力ずくでスキーを回す癖のある
私でも、それなりにターンを切り、スピード感も味わって滑り降りることができます。
標高差900メートルを何度も往復、2時間滑って太ももと腰が悲鳴を上げ始めたところで、
昼休憩。
そして再びゲレンデに出て、上がっては下るを繰り返します。
頭も真っ白になってきます。いえ、髪の毛ではなく、頭の中です。
空気も綺麗で肺は喜ぶし、よどんだ思考もリセットされそう。
ついでに言うなら、狭い心も広がります。
いいことずくめだア・・・・・
と思うころには、さすがに北の冬です。すぐに陽光は山の端に近づき、
光の力も弱まり、雪面の凹凸が見にくくなってきます。
15時20分終了の最高点行きリフトを、しんがりを勤めるパトロールスタッフの
直前に”滑り込み”一気にゴーダウン。
あれ?急ぎすぎたかコースを間違えて、再度別のリフトに乗って、ようやく
ホテルに戻りました。
疲れた体を温泉で緩めた後は夕ご飯です。
今日は「森の時計」と決めていました。
ドラマ”優しい時間”で寺尾聡マスターと、大竹しのぶの魂が語り合う場所となった
喫茶店がそのまま営業しています。
雪の小道を下っていく、しんとした誘いの後にたどりつく木組みの建物がその店です。
コーヒーとオリジナルケーキ3種が見もの味物なのですが、
にんじんカレーときのこシチューもありまして、私たちはそれぞれに
分け合いながらいただいたのでした。
しかも私は、煮込み物+ケーキ+コーヒーの喫茶店フルコース。
ケーキをオーダーせずに、食後はコーヒーだけで済ませる彼女に
こればかりは同調できず、「根雪」という名前の、ホワイトチョコとレモンムースが
分厚く2層に覆った、甘く柔らかいケーキをお願いしました。
ちなみに他のケーキは「初雪」「雪解け」です。
値段は750円と少々張りますが、私が写真をとってもこれほどに絵になる
シチュエーションは、どこか現実と非現実の間に身をおける
スポットライトを浴びたような快感も覚えることができ、価値に見合うものだと
思うわけでございます。
年の初め、旅をするなら北海道。
特に冬ですから、ふさおまき夫婦が大好きなスキー旅行が一番です。
今回の旅で、まず第一の楽しみが、久々の北海道国際航空・AIR DOに乗ること。
期待通りに羽田では、バス輸送をしてもらえるので、
いったん航空機の下に降りました。
大勢の皆さんが、黄色と水色がイメージカラーの機体をバックに
写真をとっています。
そして、フライト中のサプライズ。ANAでさえ無くなった、コーヒーの
無料サービスが残っている上、見てくださいこのカップ。
テーブルのウケ口に入れると、なんともクマの表情が照れているように見えて
可愛らしい!それだけで、眠い目も一瞬見開きます。
とはいえ、5時前に起きた体は、もっぱら睡眠を求めるので、
途中窓の外に三陸海岸を見やって、被害のありようを創造した後は
寝てしまいました。
フライトは順調です。
旭川空港はもう雪の中ではありますが、天気は曇り。
驚くほど寒くも無いですし、何といっても風が無いのが助かります。
ガラス面が大きく、そんな気象状況すら一目でわかるロビーで、
1時間のスキー場行きバスを待ちますが、それだけ時間があれば
どうしてもショップを覗いてしまいます。
あるわあるわ、定番のお土産品。六花亭、ロイズ、カルビーそれに花畑牧場が
攻勢をかけているようで、やけに新製品が並びます。
そして、旭川空港最大の発見は、お土産店の先に小さなスペースを
構えていた、テイクアウトのスタンドにありました。
見つけたのは彼女。
ジュンドック。
実はエアドゥの機内誌にも、旭川新名物として取り上げられていたのですが、
まさかバス待ちのロビーで見つけるとは思っても見ませんでした。
ネーミングは開発者の名前、というパターンで、名は体を表す、という方ではないので、
商品名は印象に残りません。
しかしなんともおいしそうな予感。
スタンドのお姉さんに尋ねると、今はチキンカツのしかないけれど、すぐに用意できます、
とのこと。用意するといっても、冷蔵庫から出してレンジでチンするだけなのですが、
まあ、チンすることを最大に生かした食べ物だというのがポイントなのです。
電子レンジは再加熱、という意味合いのほか、蒸し料理に近い出来上がりにしてくれるのは
良く知られたところ。
このジュンドックは、チキンカツを手巻き寿司のようにご飯で回りを包み込み、
それを特製シートとラップ素材で包装しています。
その上、チンして5分は蒸らすようにとの但し書きもあります。
うまくできたもので、ご飯もあつあつホカホカですし、ご飯にまかれた揚げ物も、
いい具合に弾力を持ち、衣の味が米の半分くらいまでしみこむといった
具合なのです。
(巻き寿司+蒸し寿司+カツ丼)÷3=ジュンドッグ
という想像を、口の中でしてみてください。
それで、この写真を見ていただければ、ほとんど私たちと同じ
体験をしたことになるはずです。
そんなこんなで、まだまだ着かないスキー場。
バスは9時50分に出て、雪道を50キロくらいのスピードで安定走行、
11時近くに新富良野プリンスホテルに到着しました。
ありがたいことに、すぐに部屋に入れてもらうこともできたので、
いよいよ一年ぶりのスキーウェアに着替えて・・・
と後ろから呼ぶ声が。
いつものメンバーです。
左の雪だるま人形は、新富良野プリンスの各部屋においてあるマスコットです。
恒例の記念写真・・・
このあとは、もうスキーが楽しいだけの時間が夕方まで続きます。
ロープウェーで一気に標高900メートルに上がれば、快適なパウダースノー、
しかも3キロ近いロングクルージングになりますから、とても一回だけでは
滑りきることはできません。
彼女が待っててくれたり、私が待ったり。
一年ぶりでも、身についた動作はすぐに思い出すことができます。
しかもずっと昔からバランスに優れた優雅なターンをする彼女はもちろんですが、
今年は私も、左足補強と、拇指球で重心を受け止めるバランス術を
日々トレーニングしているので、スキーが揺れずにターンができるようにいなっています。
嬉しくってついつい滑りすぎて、結構、ふとももに乳酸が蓄積して、
関節も悲鳴を上げました。
間にパンをほおばる休憩時間はとりましたが、北国の夕方はことに早いのです。
3時20分には、標高所900mのロープウェー山頂駅からさらに標高1230メートルまで
連れて行ってくれるペアリフトが止まってしまいます。
そのほぼ最後の時間に1230メートルに上がり、ぐぐーっとダウンヒル開始。
ホテルまで降りてきて、私はもうスキー特有の、筋肉を力ませたまま長時間
支える運動に耐えられなくないリタイア。彼女がもう一本滑ってくるというのを
見送って、筋肉を伸縮するジャンプ運動を、スキーブーツを錘がわりにして
ピョンピョン飛んでいたのでした。
筋肉も使い方を変えれば、いろいろ鍛えることができるのです。
ホテルに併設された温泉「紫彩の湯」から出てくると、
窓の外にかまくらがありました。
これもまた良し、しかしお腹はもう背中とくっつく状態です。
18時の、夕食時間が待ち遠しくてなりません。
今日はバイキング「味の散歩道」に予約しています。
富良野産の野菜や豚肉がたくさん並びますし、
ステーキや握り寿司のパフォーマンスコーナーも、お楽しみ。
そして実際・・・
たっぷり食べて、1時間後にはもう動けません。
仕上げにたべたラーメンは、茹でたてで、しょうゆ味スープも
しっかり締まったガラ味がして結構なもの。
ご馳走様!
明日も楽しく体を動かすことができそうです。
という気もしますが、2本滑って北海道のロングコースはそれでも足に来ています。
それで、昼御飯はあんパンで一息つきます。
富良野の小麦粉にバター、そして小豆はゼンザイのようにしっとり炊きあげて、
なかなかに美味であります。