絵:ギリシャ神話で、アキレウスが生まれると、母のテティスは、息子を不死の体にするために冥府を流れる川ステュクスの水に息子を浸した。そのとき、テティスの手はアキレウスのかかとを掴んでいたためにそこだけは水に浸からず、かかとのみは不死とならなかった。これが「アキレス腱」の由来となった。
「お父さん、明日の夕方、サッカーをします」
D(娘の夫、フィリピン人)がうれしそうに言いました。職場の人から、フットサルに誘われたそうです。
「へえ、サッカーやったことあるの?」
「昔、体育の授業で一回だけ」
「大丈夫?」
サッカーのワールドカップをいっしょにテレビ観戦していた時、「オフサイド」というルールを知らないようでしたので、少し心配でした。まあ、フットサルにはオフサイドがないので、大丈夫かもしれません。
「手を使っちゃいけないんだよ」
「それくらい、知っていますよ!」
当日、LINEメッセージが送られてきました。
「一点、とりました!」
人生初フットサルにして、人生初ゴールでした。
「もう1点。こんどはPKを決めました」
前半だけで、2点を挙げる活躍をしたようです。
ところが、後半が始まってまもなく…。
「足、けがしました。痛いです」
娘から詳しい話を聞くと、自分で自分の足を蹴ったとのこと。
「オウンゴールか…」
夜、車で駅まで迎えに行くと、片足でケンケンをして、近づいてきました。
「自分で自分の足を蹴ったんだって!?」
「いえ、別の人に蹴られたんです」
「そうだったんだ。きっと打撲でしょう」
翌日の日曜日、打撲にしては痛がり方が尋常ではない。足のかかとのあたりが痛むそうです。
「アキレス腱かもね。病院行ったほうがいいよ」
月曜日の午前中に仕事を休んで病院に行くと、案の定、アキレス腱断裂でした。
「別の人に蹴られた」というのは、正確には「別の人に蹴られたような衝撃が走った」ということで、実際に蹴られたわけではないようでした。
きっと、準備運動をろくにせずに、激しく動いたからでしょう。
私は、ソウル駐在時代、テニスをしていたときに、肉離れをやりましたが、そのときも、後ろからスマッシュのボールがふくらはぎを直撃したかのような衝撃を感じました。
結局、二日後に入院、翌日に手術。
人生初のフットサルは、人生初の入院と手術という苦くて痛い結果に終わりました。
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