犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

ハラスメントさまざま

2021-09-12 10:53:59 | 日々の暮らし(2021.2~)
 〇〇ハラスメントという言葉をよく聞くようになったのはいつごろでしょうか。

 三省堂国語辞典第七版(2014年)には、セクハラ、パワハラ、モラハラの3つが立項されています。

 一方、今から30年前の1991年に刊行された第四版にあるのはセクハラのみ。

 セクハラ以外の多様な〇〇ハラは、ここ30年の間に生まれたもののようです。

 企業でも、コンプライアンス(法令遵守)徹底の立場から、「社内でハラスメントが起こらないようにするための研修」が定期的に行われています。

 5年くらい前に私が受けた管理者向け研修では、もっぱら「セクハラ、パワハラ」への注意喚起が行われていました。そのとき印象に残ったのは、「セクハラ」は男性が女性に対して行うことが多いが、その逆もあること。ハラスメントは、加害者の自覚ではなく、被害者の感じ方次第なので、あらゆる行為が「ハラスメント」の対象になること、などでした。

 つい最近、管理者向けではなく、全社員向けの研修がありました。

 新しく紹介されたハラスメントに、「マタハラ」がありました。産休、育休をとる社員に嫌味を言うような場合で、最近では、男性社員が育休を取る際に起こることが多いんだそうです。

 また、リモートワークが進む中で、リモート勤務にかかわる新型のハラスメント、「リモハラ」が生まれている、とも。まあ、これは実質的には「セクハラ」や「パワハラ」で、ネットを介して起こるというだけですが。

 グループ討議の中では、ワクハラというのもあるらしい」という話が出ました。

「ワクチン、もう打った?」

 と聞くことも、相手によってはハラスメントと受け取られるらしい。

 特に、職域接種が行われるような企業で、自由意志で「受けない」判断をした人に向かって、「なんで打たないの?」と聞いたり、左遷や嫌がらせをしたりすることがあるようなのです。

 ただ、接客業の場合、ワクチンを受けないことで顧客に不安を与えるケースもありうるので、ワクチンを打たない人を、接客業務以外の仕事に回すことが果たして「ハラスメント」に当たるのかどうか、微妙な気もします。

 少し前に話題になったタマホームの事例は、ワクチン接種に反対する社長が、「ワクチンを接種した場合は無期限の自宅待機」、「自宅待機期間中は欠勤(無給)扱いとする」と宣言したそうですから、「逆ワクハラ」というべきか。

 「日本ハラスメント協会」のサイト(リンク)には、40種類のハラスメントが列挙されており、その中には「ワクハラ」も「逆ワクハラ」もありました。

 中には、冗談みたいなハラスメントもあります。

 ロジハラは、「正論や論理的な言葉によって相手を追い詰める行為」(ロジカルハラスメント)。そんなこと言われたら、議論なんかできなくなる。これはむしろ、ハラハラ(ハラスメントハラスメント、上司などに対して何かにつけて『これはハラスメントだ』と主張する行為)の一種ではないでしょうか。

 9月12日の朝日新聞には、「ソジハラ」が載っていました(リンク)。

 性別変更した看護助手が、職場で性的指向や性自認について侮辱される「SOGI(ソジ)ハラ」を受たことが原因で、精神障害を発症したとして、労基署に労災を申請し、認定されたという内容です。

 ソジ(SOGI)とは、性的指向「Sexual Orientation(セクシュアル・オリエンテーション)」と、性自認「Gender Identity(ジェンダー・アイデンティティー)」の頭文字を取った言葉だそうです。

 LGBT(性的少数者)に対する社会的差別は根強いものがあるので、数あるハラスメントの中でも深刻なものの一つと思います(リンク)。
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