金曜日、鴻巣にある埼玉県運転免許センターに行きました。
自分の免許の手続きではなく、D(三女の夫、フィリピン人)の外免切替の試験のためです。
外免切替というのは、外国の免許証を日本の免許証に切り替える手続き。Dは、1年8か月前に来日し、すぐに切替ができると思っていましたが、実際にやってみると、書類審査がことのほか厳格で、なかなか通りませんでした。その経緯については、以前、書いたことがあります。
外免切替の高い壁
その後、必要書類を入手するために、フィリピンの家族、元の職場(自動車学校)の上司・同僚、マニラに住んでいるらしいほとんど面識のない従姉弟など、多くの人々の手を煩わせて、書類が揃ったのが今年の3月ごろ。
ところが、Dは、その直後にフットサルでアキレス腱を断裂。書類審査を通っても、ギブスをしていたら実技試験を受けられないので、書類の提出を遅らせ、審査が通ったのが、今年の5月。実に来日後1年5か月でした。
そして試験の予約。外免切替の試験はすごく込み合っていて、もっとも早い日でも9月だったのでした。しかも、その日は妻(私の娘)がどうしても仕事を休めないというので、私が休暇をとって付き添いに。
試験は、筆記試験と実技試験の2段階。筆記試験に合格した人だけが、実技に進めます。
実技には、マニュアルとオートマの2種類があり、試験日の予約をするときに選択する。Dは、なぜかマニュアルを選択。
「フィリピンでは、マニュアルが普通です」
「日本では普通じゃないよ。マニュアルのほうが落ちやすいらしいよ」
「でもチャレンジします」
9月に落ちたら、次はいつ受けられるかわからない。しかも、Dが持っているフィリピンの免許は、来年2月の誕生日で失効する。失効したら、フィリピンの免許の延長のために、フィリピンに行く必要があるうえに、書類審査がやり直しになる。チャレンジする価値はないと思うんだけど…
私は韓国駐在中に免許が失効し、筆記試験を受けなおしましたが、100問のすごく紛らわしい問題で、90問正解じゃないと合格できない。93問で辛くも合格した経験があります。
ところが、外免切替のペーパー試験は100問じゃなくて10問。しかも、7問正解で合格というから、この点はゆるい。
そして、テストの「言語」が選べる。日本語、英語、中国語、フランス語、ドイツ語、ポルトガル語、ベトナム語、タガログ語、ウルドゥー語(パキスタン)、ロシア語、ウクライナ語…。
ウクライナ語! 韓国語がないのが不思議です。「日本語」は普通の日本語以外に、「日本語(ひらがな)」というやつもある。オールひらがななんでしょうか。漢字にルビを振るだけで、2種類作る必要はないと思いますが。
Dは、タガログ語ではなく、英語を選択。
この日、試験を受ける外国人は12人。中国人が5人、ベトナム人が4人、カンボジア人が2人、フィリピン人はDだけです。
待ち時間に、カンボジア人と話をしました。
「技能実習生ですか?」
「はい、本庄で農業をやっています」
「免許が必要なんですか?」
「はい、トラクターを運転しないとならないんで。免許があると、実習を延長するのに有利なんです」
ところが、「カンボジア語」の選択肢はありません。一人は英語で、一人は日本語で受けるそうです。
そして筆記試験の結果は…。
12人中11人合格。落ちたのは、「日本語」で受験したカンボジア人だけでした。
「あとは、実技だけだね」
「はい、がんばります」
実は、実技試験に備え、Dは、自動車学校で2回、練習しました。Dは止まるとき、ブレーキを踏むのと同時にクラッチを切っていたのですが、それは試験では減点の対象になる、ということを学んだそうです。
「左右の安全確認は、首を大きく振るようにします」
「そうだね!」
試験コースは発表されていて(冒頭写真)、実際のコースを見学することもできたので、待ち時間の間に二人でひととおり見て回りました。
マニュアルの受験者は、カンボジア人一人と中国人一人とDの三人だけ。
1台の古いトヨタクラウンに二人乗車し、一人が終わると、もう一人が乗りこむ、という具合。Dは3人目だったので、直前に二人の運転を見ることができて有利だったかもしれません。
結果は、最初に運転したカンボジア人が不合格、中国人とDはめでたく合格しました。
「やったー!」
早速、職場で連絡を今か今かと待っている娘(Dの妻)にラインで報告。この外免切替の最大の功労者は、いうまでもなく娘です。必要書類を調べ、期日までに抜かりなく取り寄せ、免許センターへの提出にも同行。自動車学校の申し込みや、筆記試験の問題集の購入…。
この日の夕食は、ささやかながら、合格祝いのごちそうでした。
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