昼ごはんは、時間も遅かったし、量も多かったので、夜になってもお腹がすきません。
9時近くになり、幸い雨も止んでいたので、ホテルの周囲を散策しました。ホテルはヤンゴン中央駅北側のビジネス街にあるので、周囲には日本語の看板も目につきます。しかし、日曜日のため、たいてい閉まっている。
結局、前回の出張時に行った日本料理屋をのぞいてみることにしました。
幸い、「一番館」は営業中でした。隅の方の席に座り、ミャンマービールと野菜炒めを注文しました。客は全員日本人。酔いが回り、大声で話しています。店の感じといい、メニューといい、値段といい、日本そのもの、まったく外国を感じさせません。
店に置かれていた新聞に、たまたまキリンビールがミャンマー最大手のビール会社を買収するという記事がありました。ミャンマービールを製造している会社です。
カウンター席で女将さんと話しをしていたお客さんが帰ったので、女将さんに挨拶しました。
「こんばんは。おひさしぶりです」
「ああ、たしか前は5月頃いらっしゃいましたね」
覚えていてくれました。
ここはヤンゴンでもっとも古い日本料理の老舗。ヤンゴン在住日本人が一度は訪れる店とのこと。
「次はいつになるかわかりませんが、また来ますね」
「よろしくお願いします」
ホテルに帰ったのが10時頃。少し飲み足りない気がします。上座部仏教の国ミャンマーで酒を飲むミャンマー人は少ない。地元のバーというものはないようです。
私が泊まっていたホテルは、歴史は古いけれど、設備は悪い。一階にあるカフェテリアには酒もあるようですが、閑散としていて、雰囲気もあまりよくありません。
通りをはさんだ向かいには別のホテルがあって、こっちは新しくて大きいので、なにかあるかもしれないと思って行ってみました。
地下に飲めるところがあるようです。
入り口で、
「今日は、日曜日だからサービスです」
と言われました。普段は入場料を取るようです。
店内はかなり広く、真ん中に楕円形のカウンターがあり、中で数人の男性がカクテルなどを作っています。それを取り囲むようにカウンター席があり、周囲にはテーブル席が20ぐらい、いちばん奥には大きなスクリーンと舞台があります。ディスコのようですが、踊っている人はありませんでした。
カウンターには、西洋系の外人と、アジア系の人(日本人かもしれません)が数人飲んでいました。
私も生ビールを注文しましたが、しばらくすると、奥のテーブル席にいた女性の一人がやってきました。
「こんばんは。どこから来ましたか」
「日本です」
「今晩、女性が必要ですか」
「?」
奥にいる数人の女性がじっとこちらを見ています。どうやら、人類最古の職業に従事している女性のようです。
「いえ、必要ありません」
「そう。じゃ、ゆっくり飲んでね」
あっさりと席に帰っていきました。彼女たちは、男性客が来るたびにそばに行って交渉しているようです。交渉が成立すると、しばらくいっしょに飲んで、二人で店を出ていきます。
(ここ、そういう場所なんだ)
生ビールが空いて、次をどうしようかと考えているとき、まだ頼んでいないのに新しい生ビールが差し出されました。
「向こうのお客さんのおごりです」
見ると、3メートルぐらい離れたところで一人で飲んでいたアジア系の男性です。
席を立ってお礼を言いにいきました。
「日本の方ですか?」
「いえ、私はマレーシア人です」
中華系なんでしょう、見た目には日本人と区別がつきません。
「観光ですか」
「いえ、学会で招待されて来てるんです」
大学教授だということで、いろいろ話してくれましたが、私の英語力がないのと、彼の英語の発音が独特なため、話の内容は半分ぐらいしかわかりませんでした。
「失礼ですが、ムスリムですか」
「いえ、私は仏教です。だからお酒も飲みます」
「マレーシアはムスリムが多いのでは?」
「全員というわけではありません。60%ぐらいです」
「ところで、あそこの女性、売春婦みたいですね」
「ここにいる女性は全員売春婦ですよ」
自信をもって断言していました。ここのホテルに泊まっていて、毎日来ているようでした。
おごってもらったビールが空きそうになり、
「今度は私がおごりましょう」
というと、
「いえ、もう十分飲みましたから」
といって、残っていたビールを飲みほし、自分の部屋に帰って行きました。
私はもう一杯追加し、お勘定をしてもらいましたが、チャージやサービス料がついて20000チャット(2000円)ぐらい。日本のホテルのバーよりは安いと思いますが、ミャンマーの人にとっては高すぎると思います。
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