お彼岸のお中日が過ぎた24日、実家の菩提寺のある谷中にお墓参りに行きました。
次女親子、三女の家族もいっしょです。
JR日暮里駅からお寺に歩いていく途中に、谷中銀座という商店街があります。
下町の雰囲気を残しているということで、最近は、外国人観光客も訪れる観光スポットになっています。
商店街の入り口に、骨董品店がありました。
「あっ! イゴロットだ」
D(三女の夫、フィリピン人)が声を上げます。
店頭に、木彫りの胸像(冒頭写真)がありました。それが、Dの生まれ故郷、イフガオの伝統工芸品だというのです。
イゴロット(Igorot)はフィリピノ語で、「山の人」の意味。フィリピン北部、ルソン島の高地に住んでいる部族の総称です。Dのお母さんは、イゴロットの一つ、イフガオ族なのです。
「ほら、これ僕があげたアクセサリーと同じでしょう?」
「ほんとだ」
胸像が着けているペンダントのデザインは、Dが私の娘に送ったピアスと同じだということです。
「なんでこんなところに、イゴロットの彫刻があるんだろう?」
誰かがフィリピンの工芸品を輸入販売しようとしたけど、売れ残って、骨董品として出回っているのか。フィリピンに住んでいた日本人が現地で買ったものを日本に持ち帰り、邪魔になったので、売ったのか。
「ちょっと、色が違うけどなあ」
現地で一般的なのは、派手な彩色をほどこさず、全体が茶色なんだそうです。
「ちょっと、お母さんに聞いてみる」
スマホで写真を撮って、フィリピンのお母さんに送ります。
お墓参りが終わったころ、返信がありました。お母さんの意見も、「色がちょっと違うけど、形はイゴロットのもので間違いない」というもの。
「買いたいなあ」
骨董品店でつけられていた値段は、3000円でした。
「高くはないけど、持って帰るのがたいへんだね」
「コンビニから家に送るという手もあるよ」
「大きいし、かなり重そうだから、送料のほうがかかるかも」
「大丈夫です。僕が持って帰ります」
結局、木彫りの彫像を購入し、Dが抱えて持ち帰りました。
家に着いてから量ってみると、8・5キロありました。
「やっぱり、これ、本物だ!」
「どうしてわかるの?」
「だってここにゴキブリの卵がついてる」
Dが、胸像の耳の裏からはぎとった小豆のようなものを見せてくれました。ゴキブリの卵の上から仕上げのニス(?)を塗ったもののようでした。
「ゴキブリの卵? こんなに大きいの?」
半信半疑でネットで調べると、たしかにゴキブリの卵でした。小豆大の殻に、25個ほどの卵が入っているそうです。
「でも、なんでゴキブリの卵がついてると、フィリピンのものだとわかるの?」
「だって、日本人なら、ゴキブリの卵がついたまま商品にしないでしょう?」
あまり説得力はありませんが、それ以上追及しませんでした。
谷中で出会ったイゴロットの胸像は、娘夫婦の部屋の存在感のある調度品になりそうです。
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