犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

赤と青~人生ゲーム

2022-06-18 16:44:06 | 思い出
 昨年スウェーデン人と結婚した四女が、結婚祝いに、ペアのマグカップをもらったそうです。一つは赤、もう一つは青。

 すると夫が娘に聞いたそうな。

「どっちがいい?」

 その話を聞いた私は不思議に思いました。

「当然、赤は女で、青は男でしょう?」

「スウェーデンはそういう決めつけはしないみたい」

「ふーん」

 夫婦が家に遊びに来た時、夫に聞いてみました。

「人生ゲーム知ってる?」

「知ってます。スウェーデンにもあります」


「最初に車を決めるでしょう? 男の子は青で、女の子は赤を選ぶんじゃない?」


「そうですね。でも、青が好きな女の子もいるし、赤が好きな男の子もいるんじゃないですか」


「ふーん」


「まあ、洋服なんかだと、ピンクが好きな男の子はちょっと変かも」


 私も子どもの頃に人生ゲームをやりましたが、男の子に人気のある車の色は断然、青。その次が緑。赤、オレンジ色、黄色は女っぽいと言って、嫌がりました。

 小学校1年生のとき、「溶連菌感染症」という病気にかかって、都立病院の小児病棟に入院したことがあります。病気とはいっても、別に症状はなく、大部屋の子どもたちとテレビのゲゲゲの鬼太郎を観たり、ゲームをしたりして時間をつぶしていました。

 人生ゲームを持ち込んだ子どももいました。

 車を決めるとき、問題になるのが誰が何色をとるか、ということ。

 女の子がいればその子が赤で決まりなのですが、全員男の子だったりすると、けんかになります。

 そこで大人が仲裁に入って、

「〇〇くん、でいいかなあ?」

などと言って、赤の子を決めようとします。

(ほんとは別の色がいいんだけど、しかたがないか)

 たいていの子はこういわれてあきらめるのですが、ある3年生の男の子は、

「うん、ぼくはでいいよ」

と言って、さりげなく青をとっていきました。

でいいか?って聞いたのに…)

 ぼくは(なんかだまされたみたいだなあ)と思いましたが、そこは小学校1年生、理由はよくわかりませんでした。

 今考えると、「青でいい」「で」は譲歩の助詞。ほかの色がもっといいんだけど、青でがまんする、というニュアンスが込められています。

~でいい

 その男の子、青がいちばんいいくせに、まるで我慢しているかのように振舞いつつ、まんまといちばんいいものを手に入れていたわけです。

 言語感覚が優れていたんでしょう。

 正直言って、人生ゲームは小学校1年生には難しすぎました。

「株を買う」

は、八百屋でカブを買うんだと思っていましたし、「かつらを買う」などというところでは大笑いしました。

「人生の分かれ道」で、億万長者になるか、貧乏農場で働くか、などと言われても、ピンときませんでした。

 まあ、双六とか回り将棋の一種として、楽しんでいましたが。

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