犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

フィリピン大統領選挙はマルコスJr.が有力

2022-04-30 00:58:40 | フィリピン
写真:イメルダ夫人の靴のコレクション

 5月9日、韓国の文在寅大統領が退任します。

 同じ日、フィリピンで大統領選挙が行われます。

 日本ではあまり注目されていませんが、わが家にはフィリピン人の家族がいるので、ときどき大統領選挙戦の状況を、D(娘の夫)に聞いたりします。

 候補者は4人。

 1人は、元上院議員のフェルディナンド・ロムアルデス・マルコス・ジュニア氏、64歳。通称、ボンボン・マルコス氏です。かつて20年以上、フィリピンに独裁者として君臨した故フェルディナンド・エドラリン・マルコス元大統領の長男です。

 2人目は、レニー・ロブレド女史、56歳。人権派の弁護士出身で、現政権の副大統領。しかし、現職のドゥテルテ大統領の強権的な政策を批判しています。

 3人目は、現マニラ市長のフランシスコ・ドマゴーソ氏、47歳。俳優出身。

 4人目は、上院議員のマニー・パッキャオ氏、43歳。元ボクシングの世界チャンピオンで、6階級制覇を成し遂げ、国民的な人気を誇ります。

 現職副大統領に、独裁者の息子、元俳優、元ボクサーと、実に個性的な経歴です。

 で、Dの話では、最近の世論調査でマルコス氏が支持率60%で最有力だそうです。

 彼のお父さん、故マルコス大統領が不正選挙の後、「エドゥサ革命」によって失脚したのは、1986年のこと。韓国で盧泰愚大統領が民主化を宣言する前の年です。

 当時、私はある出版社の地域研究部署で、ソ連(当時)の研究をしていました。隣には、アメリカの研究チームもあり、研究員にはフィリピン人、韓国人もいました。

 革命が起きたとき、当時はインターネットなどありませんでしたから、テレビと新聞のニュースを固唾を飲んで見守っていました。

 マルコス大統領は、不正選挙もさることながら、不正蓄財もすごかった。

 特に、失脚後、夫人のイメルダの贅沢なコレクションが誇張して伝えられました。ハワイに亡命後、空き家になった住居(マカラニアン宮殿)には、3000足の靴と6000着のドレスがあったとか(Wikipediaでは、1060足の靴、15着のミンク・コート、508着のガウン、888個のハンドバッグとなっています)。

「でも、こんな独裁者の息子が支持されちゃうんだ」

「みんな、そんなこと知らないですよ。昔のことですから」

「昔っていっても、40年も経ってないよ」

「ぼくはまだ生まれていません」


「…」

 調べてみると、フィリピン国民の平均年齢26歳なんだそうです。(日本は47歳)。

「日本にいても、投票できるでしょう?」

「ぼくはしません」


 政治にはあまり興味がないようです。

 ボンボン・マルコス氏が、独裁者の娘として大統領に当選し、のちに投獄された韓国の朴槿恵(パク・クネ)の轍を踏まないことを祈ります。

 マルコス氏が失脚した10年後、私が韓国に住むようになったとき、南大門市場の地下商街にイメルダという靴屋を見つけたときは、思わず笑ってしましました。

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