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rembrandt the late works




ナショナル・ギャラリーで開催中のRembrandt The Late Works展へ、2度目の見学へ行って来た。

1度目は約2ヶ月前、開催始まってすぐの週末は、もうもっのすごい混雑だった。
そろそろ落ち着いてきた頃かと思いきや、場所を譲り合い、気を使うほどには混み合っていた。

しかし、混雑が気にならないくらい絵の中に入って行けるのはレンブラントだからだろう。

彼がキャンバスに捕らえる一瞬のシーンは、見る人に次のシーンを期待させるので、他を忘れてその場に立ち尽してしまう。
現実が含む情報は無限だ。そこで、余計な情報は画面上の「一瞬」から排除する。同時に画面上の一瞬の、次の一瞬を想像させる情報はすべてもらさず描いている...
と言えばいいか。難しい。
写真家のアンリ・カルティエ=ブレソンの有名なクオートに「写真は一瞬の反応、絵画は瞑想」"Photography is an immediate reaction, drawing a meditation" Henri Cartier-Bresson)というのがあるが、その両方を絶妙なさじ加減で含むのがレンブラント、と言えばいいか。ちょっと違うかなあ。


アムステルダムの国立美術館、ハーグのマウリッツ・ハイス、オーストラリアや米国からも、レンブラントが40代に入ってから制作した名画が集結。うわーあの絵も来てるの? 敏腕キュレーターがおられるのですな! と、そんな面も感激。
また、ちょうどこの前、無形文化遺産に登録された「和紙」を使ったラディカルなエッチングの数々も。エッチングの最初版から完成版まで連続で展示されているおかげで、和紙の効果(ものすごく繊細で深みと奥行きのある瑞々しい仕上がりになるという印象をシロウトは受けた)を見ることができたのもボーナスだった。


レンブラントに肖像画を注文する人が、自分を立派に美しく理想化して描いて欲しいと願うのと、アーティスト・レンブラントがリアリズムを追求しつつしかも単なるリアリズムにとどまることなく、常に新しい手法、表現法を生み出そうとしたこととの齟齬。そうやって世間にもまれた続けたことや、プロテスタント文化圏にあってとんでもない浪費家であったことなど、彼の破天荒な後半生の逸話も今となっては作品に深みを与える愉快なエピソードだ。


王立芸術院で開催中のルネサンスの肖像画家モローニ展を見たばかりだったのも勉強になった。
カラヴァッジオをはさんで、レンブラントに続く系譜...(ちなみにモローニの肖像画は、レンブラントの肖像画よりもさらに「写真は一瞬の反応」面が強いと感じた。というのは、モローニは下書きをほとんどしなかったらしいですよ!!)

すばらしい。

"The Syndics"(右、ウィキペディアより)も来ています。わたしはこの絵が大好き! 懐かしいような気にさせられるので。
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