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Brugge Style
until the lions

ロンドンの中心部からは北の方、チョーク・ファームに、扇形庫(ラウンドハウス)を改造してヴェニューに仕立てた建物がある。
その円形の劇場に合わせて製作されたカーンの新作。
このラウンドハウスは、外観は味わいも何もない建物で、内部もロビー部分や階段部分はほんとうにそっけないが、劇場に入るやその特別な設計に驚く。
Until thr Lionsの舞台は直径9メートルの木の切り株、ひび割れからはスモークが立っている。舞台は近く(カーンの頭から吹き出る汗さえ見えた)、始まる前から地鳴りのようなチャントがかかっており、これから闘鶏が始まるのか? という雰囲気。
マハーバーラタに題材をとり、インド舞踊とコンテンポラリーダンスで織り上げたものすごくインテンシブな1時間、すばらしかった。
話の筋を知っていると楽しみ二倍だと思うので、自分のための覚書としてここに記す。
王女アンバーはビーシュマに誘拐され、無理やり結婚の儀式に参加させられるが、アンバーには婚約者がいたため、ビーシュマは彼女を婚約者に送り返す。しかしビーシュマに負かされたことを婚約者は恥じており、送り返されたアンバーを拒絶する。
アンバーはビーシュマの元に戻るが、ビーシュマは不淫の誓いを立てているため彼女を拒否する。ビーシュマを恨んだ彼女は憤死し転生して戦士となる。
ちなみに内容にはバリエーションがあり、カーン版の筋書きはもっとシンプルだ。アンバーが結婚相手を選ぶ儀式を行っている最中、悪者ビーシュマがアンバーを誘拐する。不正に怒ったアンバーはビーシュマを倒す誓いを立て、焼身自殺の末、戦士に生まれ変わり、とうとうビーシュマを殺す。
マハーバーラタは世界史の暗記モノで覚えたが、内容にはほとんど接する機会がなかったのでとても興味深い。
ダンサーはカーンを含めて3人(アンバー、ビーシュマ、アンバー生まれ変わりの戦士)、ミュージシャンが4人でこれがまたすごかった。素朴な太鼓とギターと男女の歌。インドあたりの腹の底から出るああいう祈りのような歌、手足を踏む鳴らす音、まさに「この世の始まり」という感じ。
タイトルのUntil the Lionsは、カーン版の筋書きを鑑みて
"from an African proverb: “Until the lions have their own historians, the history of the hunt will always glorify the hunter.”
「ライオンどもが自分たちで歴史を語り始めるまでは、狩りの歴史は永遠に狩人を賞賛し続けるだろう」(アフリカのことわざより)
で、ファミニズム的な意味なのか...
どうなのだろう。もっと深くてもいいはずだと思う。誰か教えて...
(写真はwww.telegraph.comより@ALASTAIR MUIR)
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