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Brugge Style
ハロウィンの黒ミサ messe noire, trifonov
ハロウィンの夜...Mess Noire、黒ミサ...
いや、ロンドン、ロイヤル・フェスティバル・ホール、Daniil Trifonovのリサイタル、含スクリャービン『黒ミサ』。
トリフォノフ、今回もとても気前のいいプログラム。
もうすばらしかったです! 前回よりもよかった!
スクリヤービンはところどころ少し色気が足りないかなあ(例えばエチュード42−5の中間あたりのメロディーライン。出だしは妖華あふれていたのになあ)と感じた。
わたし自身、色香の足りない中年女のくせに何を偉そうに言っているのだ...
しかし、なんですな、スクリャービンご本人って、たぶん色気も陰影も神秘性も面白みも少ない男だったんだろうなあ、と思う。
だからきっとあんなに狂おしくも艶かしく魅惑的な音楽を作ったんだと思う...
至高体験とか、梵我一如とか、わたしはショパンには感じるけれど、スクリャービンにはあまり感じない。もちろんそんな男スクリャービンと彼の美しすぎる曲がかなり、相当、好きではある。
ちなみに今、娘がエチュード42−5を練習中。
トリフォノフの演奏はメフィストフェレス的というよりかは、ファウスト的(悪魔に魂を渡す交換条件に、現世で人生のあらゆる苦楽を体験できる契約を結ぶ)かと思いながら聞いていた。そうしたら、スクリャービンの『黒ミサ』から間髪入れずベートーヴェンのソナタ31番を弾き始め、まるでそれが『白ミサ』のようで、コントラストの計算が悪魔的!
今夜にあまりにもふさわしく(『ファウスト』にもヴァルプルギスの夜が出てくる)、感嘆した。これってハロウィン用プログラムなのか?(<違う)
ベートヴェンのソナタは数ヶ月前聞いた時と同じで、あまりわたしの好みではなかった(特に第二楽章)のだが、そんなことはどうでもよくなるくらいの圧倒的なプロコフィエフ! のたうちまわる大蛇のような動きもすごかったが、演奏もまるでそのようだった。
レコーディング出ないかしら...
よいハロウィンでした。
フォワイエで同年代の女性から「あなたほんとうに美しいわ! ほんとうに!」とお褒めいただいたので、「ありがとうございます。今夜は仮装です」と返答しておいた(笑)。
Scriabin:
Etude in C sharp minor, Op.2 No.1
2 Poèmes Op.32
8 Etudes, Op.42
Poème tragique, Op.34
Etude in D sharp minor, Op.8 No.12
Sonata No.9 in F, Op.68 (Black Mass)
Beethoven:
Sonata in A flat, Op.110
Borodin:
Au couvent, Intermezzo & Serenade from Petite Suite
Prokofiev:
Sonata No.8 in B flat, Op.84
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