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アフロディテ誕生の海




この写真よりも美しい海岸は世界中にいくつもあるだろう。

しかし

「農耕神クロノスが、父である天空神ウラノスの性器を切り取り海に捨て、その泡から生まれた美神アフロディテが西風によって打ち寄せられた浜。彼女はここからキプロス島に上陸し、彼女が歩けば花が咲き鳥が歌った」

...これ以上に美しいストーリーを持つ海岸はここ以外にはない。
リアム・スカーレット(Liam Scarlet)あたりが、この素材をバレエにしてくれたらいいのに!

この海岸、ペトラ・トゥ・ロミウ(Petra tou Romiou)を陸に入った山手側には、アフロディテに捧げられた神殿遺跡があり、海を見下ろしていた。


アフロディテは、ギリシャ神話より前から古代オリエントでアスタルテやイシュタル女神として崇拝されており、キプロス島の東側にはすぐシリアが控えていることを思えば、彼女がギリシャ世界ではここに一番最初に上陸したという筋には非常に説得力がある。

実際、アフロディテを祀る最も古い非ギリシャ圏の神殿はシリアのアシュケロンにあり、明らかに彼女はフェニキア起源なのだ。
そしてキプロスの海岸線にはもちろんフェニキアの遺跡が多く残っている。


霊験あらたかな海、ここで沐浴すると女神のご利益を受けられそうだ。精神的にエステ何百回分に値しそうで夢中で(笑)泳ぎましたよ! 
結果、ありえないほど日焼けしてしまい...そうだった、ギリシャ神話の神々は偏屈で性悪なのだった。
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lest we forget




キプロス島から着陸するや否や、今シーズン最初のバレエ鑑賞へ。夢から夢へ。

第一次大戦に取材した3部作。Lest We Forget、イングリッシュ・ナショナル・バレエ@サドラーズ・ウェルズで。

Liam Scarlett 'No Mans Land'
Russell Maliphant 'Second Breath'
Akram Khan 'Dust'

タマラ・ロホ(Tamara Rojo)もアリーナ・コジョカル(Alina Cojocaru)も、高橋絵里奈さんも、すーばーらーしかった。


どの戦争もこれら舞台のように美しくも高潔でもない。
しかし芸術が、スザンヌ・K・ランガー(「芸術とは何か」を読了したばかり)の言うところの「芸術とは人間感情のシンボル化である」ならば、これはまさに芸術である。

機会があったら必見です。


(写真はENBのサイト、ballet.orgから)
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ニコシア外電




わたしの、キプロス島との一番最初の出会いは、共同=ロイターの「ニコシア外電」による。

昔、中東のニュースは必ずニコシアを通じて入って来ており、ラジオのアナウンサーが読み上げたり、新聞の署名に入っている「ニコシア」という名は、手の届かぬ時間と空間の遥か遠くにあった。


欧州に住むようになってからは、海と遺跡がある格好の旅先として気になってはいたが、好みの宿泊施設がないという理由で、いつかそれが整ってから行けばいいと思っていた。しかし、この先リゾートとしてもっと洗練される可能性があるというよりは斜陽(南北に分裂したためだろう)と聞き、急きょ決心。

最も洗練されたリゾートはなくとも(いちよう島一のホテルに滞在)、来ては去った様々な民族が残した多彩な遺跡、美しい海、おいしい食べ物とワインに大満足。親切で話し好きな人々は、キプロスを褒めると一瞬困惑さえしたようなはにかんだ笑顔を見せ、大喜びしてくれた。


今回はのべ1週間分を観光にあてても四国の3分の一の大きさの島の見所は回りきれず。
回りきれなかった遺跡と、そして島の北側の北キプロストルコ共和国側を訪れるために絶対に再訪したい。サラミス(ペルシャ戦争)など、受験の時に覚えませんでしたか。受験の時に単なる記号として覚えた地を実際に訪れるのはわたしの大きな喜びのひとつだ。



真っ黒に日焼けしてこれでわたしの2015年の夏は終わり。シミも増えたが思い出も増えた。
BBCプロムも終わり、英国はオフィシャルに秋に入った。

来年はひさしぶりにアジアのリゾートに行こうかなあ。スリランカとかいいなあ。
夫は現在トルコのトロイの遺跡を見に行きたいらしい...そういえばそこはもう小アジアですな。


ああ、バカンスが永遠に終わらなければいいのに!!


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