日々茫然

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気になる?

2007-09-10 | アートの話

先日、夕方の情報番組で、広島市現代美術館のユニークなコレクション展が紹介されていました。

 コレクション展2 ゲスト・キュレーターよる収蔵作品展 MONEY TALK
   2007年9月2日(日)~2008年1月29日(火)
なんと、作品の購入金額をキャプションに付けちゃうんです

以前小さな美術館に勤めていた時に、お客様から「これ、いくらぐらいするの?」と聞かれて困った事があります。
正直、その時は「なんと下世話な…」と思っちゃいました。
ゼロの数で、作品の価値を判断するだなんて。

実際、バブル期など絵画を投機目的に売買するなんてこともありましたが(今もなくはないんでしょうけど)、「芸術を愛する者のすることじゃない」と呆れていました。
その作品が高かろうが安かろうが、自分が良いと思えば良いじゃないか?とね。
作品そのものを味わえばいいじゃないか。値段なんか関係あるかっ
「巨匠」と呼ばれる人の作品だって好みじゃないこともあるし、名も知らぬ若手の作品だって心に響くことはあるではないですか。

現実に芸術が売買されてそれで生活するのが芸術家である以上、「号いくら」の作家、と金額で評価されてしまうのも仕方ないけれど…
 ※美術年鑑などに、作品のサイズ1号あたりの金額が載っています。
  1号○○円として、○○円×号数(サイズ)でおよその金額が計算できるしくみ。
  もちろん、同じサイズでも作品の出来などによって多少変動します。

「値段が先にありき」で、「なるほどこの人の作品はこれくらいなのか」と先入観をもって作品を見てしまうと、下手すると「○○万円の絵だから、よく分からないけどきっとすごいに違いない」みたいな、もうそれ以上でもそれ以下でもない見方しかできなくなったりしないか?という危惧が浮かびます。

ただ、こういう試みは面白いな、と思いました。
矛盾しているようだけど、やっぱり人情として、金額、知りたいでしょ?

動機が下世話な興味だとしても、そもそも普段美術館に行くことのあまりない人まで、美術館に足を運ばせる作戦としては、見事
行ってみなきゃ、本物に触れる機会はないわけですからね。
これで初めて色んな作品に触れて、芸術の多様性・面白さに感心を持つ人もきっといっぱいいると思います。

それに、
「こんなに素敵なのに、この程度の額?」
「この落書きみたいなのが○千万円もするの!?」
「同じ値段なら、こっちを買うくらいならあっちのを買うなぁ」
多分こんなこと言いながら、見て回りますよね。

そうだとしたら、もし価格表示がなかったら、「ふーん?」で素通りしていた作品にも、興味が持てるかもしれません。(特にここは現代美術館だし、パッと見てもよく分からないのが多いですからね。)
一見よく分からない作品も、美術館にある以上はそれなりの高額です。
「へぇ~これがこんなにするのその価値はどこにあるの?」と考えると、作品に対する理解も深まるかもしれないし、「やっぱり分からん!」となると、今度は「芸術の評価って何なの?誰が決めるの?」という疑問に繋がるかもしれません。
深読みし過ぎか?

「○○万円の絵だから、よく分からないけどきっとすごいに違いない」で終わる人も多いかもしれないけど…
それでもまずは美術館に足を運んだだけでもよし、きっと「美術館は入りにくい」みたいなハードルが低くなることでしょう。
こういうのもアリだなぁ、と、ニュースを見ながらニヤリとしました。

コメント (6)
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