「○つやさ~ん、お母さんがドライバーば貸してってよ」と妻。
父が使うのかと思い、階段下を覗くと
「○つや~。ドライバーばかしてってよ~」と1階から母が言う。
少し開けられている玄関引き戸から見えるその足元は、父とは違う。
階段を下りていくと部活のユニホームを着た高校生だ。
工業高校の野球部員だろうか。
戸を開けると3人いた。
自転車が壊れたのでドライバーを貸してほしいとのこと。
改めて「何んがいる?」と尋ねると
「ペンチとドライバーです」と言う。
受け取った道具を持って彼らは隣へ行った。
ついて行くと、お隣の駐車場にその自転車はあった。
彼らの会話や状況から判断すると、
部活の何人かが自転車で(竹松駅?)から学校グラウンドまでの移動中に、
転倒、衝突、または接触かで1人の自転車のチェーンが外れたらしい。
1人は彼より先を走っていたが呼び戻されたようだ。
仲間は既にずっと先を走っているらしい。
外れたチェーンを戻すには、チェーンカバーを外さないといけない。
しかし、それを止めてあるビスを廻すドライバーを持たない。
それで、彼らは我が家に助けを求めてきたと言ったところのようだ。
傍らで見ていたのだが、どうも手際が悪い。
元々チェーンと歯車にそんなに遊びが無いのでうまく掛けきれないのだ。
「そいは逆やろう。チェーンは反対に回さないと歯車とかみ合わんばい。どら」
と手を出してしまった。
歯車とチェーンの間にドライバーを差し込み
「逆、逆、反対に回して」
「反対ですか」
ギアとかみ合った。
「スゲー、ハマった」
カバーを戻すためにビスを止めようとするが、ビス穴がずれている。
「穴の合わん!」
「どらどら」
見るとカバーが横にずれている。少し叩き戻すと十分な位置になった。
ここで一旦身を引いた。
今度は、上のビスは止まったが、反対側の受け側が見当たらないらしい。
「穴の無か」
「いや、始めあったばい」
ここで再び登場。
「どらどら。(自転車を)ひっくり返してみて」と指示。
チェーンカバーの裏側から見ると、衝撃で動いたためかカバーのステーがずれたようだ。
「なるほど はいはい」
金槌と小バール(くぎ抜き用)を持ってきた。
バールをステーに当ててコンコンと金槌で叩いてずらして合わせる。
持ってきた電動ドライバーでビスを止める。
「お~」と三人が声を上げる。
「こいで、よかろう」
「ありがとうございます」
「はい、気を付けて」
う~ん、『年の功』ってとこやろうね。
道具を戻して道を見たが、すでに彼らの姿は無かった。
相当飛ばして行ったようだ。
事故せんごと、気を付けろよ。
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