久しぶりの面白古文書です。
このところずっと、陶磁器の硬い?ブログが続きました。ここらで一服して、少し柔らかめのものをと思いました。
ところが今回の品は固くなった頭では容易にほぐすことができない手強い相手でした。とりかかってから、3か月も経ちますが、いまだに意味不明の項目(赤色文字)が多く残っています。ブログ読者諸氏の御教示をお願いします(^.^)
18.9㎝x24.2㎝、江戸後期。
例によって、瓦版、角力番付の体裁で、東西対抗形式のパロディーです。金玉尽、鳥尽がびっしりと書かれています。以前に紹介した物と較べると、半分ほどの小さな紙に、多くの尽くし項目が載っていて、頭がグラグラします(^^;
そんな訳ですので、何回かに分けてブログアップします。最後には、番外篇「りんの玉」ブログを追加します。
第一回目の今回は、中央のタイトル・表題?部と右上一段目です。
中央のタイトル・表題:
御慰 金玉尽
鳥尽
行司
能太夫ニ孔雀
(能太夫に孔雀)
丸薬ノ鳳凰
(丸薬の鳳凰)
鍋にハ靍
(鍋には鶴)
川口瀑ノ鳩
(川口瀑の鳩)
関羽ニ七十二きん
(関羽に七二きん)
志ゝ頭ノりきん
(獅子頭の利巾)
はまるハ借金
(嵌まるは借金)
借物ハ式きん
(借物は式金)
四ツ目ヤりんの玉
(四つ目屋りんの玉)
太夫ノ小玉
(太夫の小玉)
くさひはへ玉
(臭いは屁玉)
初春の舞玉
(初春の舞玉)
【利巾(りきん)】角のある獅子頭。
【四ツ目屋(よつめや)】江戸のアダルトショップ。男女向けのアダルトグッズを売っていた。
【りんの玉】江戸のアダルトグッズの一つ。今回の面白古文書の最後、番外編でブログします。乞う、ご期待😊)
【能太夫〕太夫は、能や舞に通じていたのでこの呼称がある。
【鍋には鶴】江戸時代、ナベズルやマナズルは食用になっていた。鍋と鶴を懸けてナベズル。
【舞玉】繭玉のこと。花餅などともよばれ、正月の縁起飾りのひとつ。米の粉を練って蒸して丸め、まゆの形に似せたものを、木の枝にさして、養蚕や農作物の豊作を祈願する。
【小玉】小玉銀、豆板銀とも言う。大口取引に用いられる丁銀の補助的貨幣として日常的に使われた。
【式金】敷金:貸物屋=損料屋、江戸庶民の長屋は狭く、火事も頻繁におこったので、家財道具をあまり持たない生活をしていた。損料屋(貸物屋)から、鍋、釜から畳、布団、旅道具、冠婚葬祭の着物まで借りていた。敷金とは貸借時に預けておくお金。
右上一段目:
大関 奉公人ハ忠きん
(奉公人は忠勤)
関脇 舟の船玉
(舟の船玉)
小結 殿様のぢつきん
(殿様の昵近)
前頭 太いガ胆玉
(太いが胆玉)
前頭 御大名の参きん
(御大名の参勤)
前頭 春ハあら玉
(春は新玉)
前頭 全〇之出きん
前頭 人之阿玉
(人の頭)
前頭 大黒さんハ頭きん
(大黒さんは頭巾)
前頭 鯛ノうしを目玉
(鯛の潮目玉)
前頭 朝夕の看きん
(朝夕の看勤)
前頭 心ハ善玉
(心は善玉)
前頭 道々の遠きん
(道々の遠近)
前頭 わるいが悪玉
(悪いが悪玉)
前頭 ならして平きん
(均して平均)
前頭 大阪生玉
(大阪生玉)
前頭 琴にハ木きん
(琴には木琴)
前頭 祭りに掃き玉
前頭 五十年の皆きん
(五十年の皆勤)
前頭 玉屋/\ハ砂ぼん玉
(玉屋/\は砂盆玉)。
【船玉(ふなだま)】船霊、船魂ともいう。航行の安全を守る神。
【昵近(じっきん)】貴人のそばに召し使われて雑用をしていた者。近習 (きんじゅ) 。側役 (そばやく) 。
【新玉(あらたま)】春の接頭語<=あらたまの春
【看勤(かんきん)】寺院のお勤め
【生玉(いくたま)】大阪の生玉町、または、生玉國神社。
【木琴(もっきん)】江戸時代、歌舞伎の中で木琴が活躍していた。
【玉屋、砂盆玉(しゃぼんだま)】玉屋:夏の市中を歩き回った子供相手のしゃぼん玉売り。また、これに題材をとった軽妙洒脱な清元の代表曲名。
硬い陶磁器ばかりいじっていますので、頭も硬くなっていて、さっぱり分かりません(~_~;)
解説を付していただいていますので、ほんの少し意味が分かってきた感じです(~_~;)
何回か眺めているうちに、少しは頭も柔らかくなってくるのでしょうか、、、。
なにか大っぴらには語れないものを、隠語的な表現で表わしている感じもしますが・・・
解明したらびっくりするような内容かも知れませんね。
川口瀑の鳩や能大夫に孔雀は、当時の符丁のようなものだったのでしょうか。
江戸で損料屋(貸物屋)が一般的だったとは思いもよらなかったです。今、若者の間では物を持たずにリースで済ますのが流行っているらしいです。時代がぐるっと一回りしてきた感じです。
どうかんがえても、男向けに刷られた品ですね(^^;
「さすがにこれは草」というところですね。笑笑
「さすがにこれは草」か「座布団一枚」となるかは、その時の気分次第?