遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

陶胎七宝蝶紋盤口花瓶

2021年05月22日 | 陶磁胎七宝

しばらく横道にそれましたが、陶胎七宝に戻ります。

口径 9.3㎝、底径 9.4㎝、高 22㎝。明治初期。

輸出向けと思われる陶胎七宝花瓶です。

素地は、これまでと同じく、卵色の柔らかな京薩摩系の陶器です。

これまでの品と同ように、ハート形の地模様が一面に施され、空色の地に、デザイン化された蝶が散りばめられています。

回してみると、

 

 

全部で、8匹います。

 

大きな口造り。

 

底部は、輸出陶磁器に多く見られる造りです。

 

図柄はこれまで紹介した陶胎七宝と類似のものですが、この品では、あずき色の上釉が好んで使われています。

ピカピカと光輝く近代七宝に対して、陶胎七宝は元々素朴です。しかも、今回のあずき色釉のように、あざやかな赤ではなく、渋い色の七宝が、欧米で受け入れられたとは驚きです。

いずれにしろ、陶胎七宝が輸出されていたのは確かなようです。

そう考えると、不思議なもので、品物を見る範囲がおのずと広がってきて、こんな所に、という具合に、陶胎七宝をはじめとする毛色の変わった品を拾いあげることができるようになりました(^.^)

 

 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
酒田の人さんへ (遅生)
2021-05-24 13:47:21
「吸坂手」とは、言い得て妙ですね。
明治七宝のピカピカの上手品は大変人気があり、ちょっと気の利いた品は私などおよびではありません。
残された道は、こういうニッチな物探ししかないのです(^^;
「金銀彩」にたとえてもいいかも知れませんね(^.^)
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遅生さんへ (酒田の人)
2021-05-23 23:16:46
七宝というと華麗な品を思い浮かべますが、このような渋い品もあるんですね
古九谷様式でいうところの「吸坂手」みたいなもんでしょうか。
蝶大好きのワタシとしては蝶も気になるところですが、なかなか面白い色使いになっていうように感じます。
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Dr.Kさんへ (遅生)
2021-05-23 11:02:47
ビンボーコレクターには、人の目から外れたニッチ品しか手に入りません(^^;

西洋人でこういう品んだのは、一体どんな人たちだったのでしょうか。
そちらの方が興味あります(^.^)
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遅生さんへ (Dr.K)
2021-05-23 09:23:32
明治の初め頃は、このような渋い七宝が輸出されていたのですね。
西欧の人々の好みに合わせるのではなく、自分たちの好みに合わせて作っていたからなのでしょうか、、?

これに連動して、色々と変わった品々を拾いあげることができるようになったんですか(^-^*)
それらの変わった品々の紹介も待たれます(^_^)
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