五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

祇王寺のまろちゃん

2012年11月17日 | 第2章 五感と体感
前回祇王寺を訪れた時刻は、閉館間際でした。西にそびえる(そびえるほど標高はありませんが)小倉山の袂にあるため京都市街よりも早くに日が沈みます。そのようなわけで、苔むした庭の境内は薄暗く、じめじめとした感覚が記憶に残っていました。そこに住む白く太った猫が「にゃあ…」と鳴くと、平清盛に寵愛された祇王と仏御前の哀しみの吐息のように聴こえ、抑圧的な気分になったことを覚えています。

今回8年ぶりの祇王寺は、正午あたりに到着。

あの暗くじめじめしたイメージが離れず、しぶしぶ境内に入りましたが、再訪して安堵しました。

以前よりも庭が整備され、朽ちたイメージが払拭されました。朽ちていたほうが臨場感があるとは思いますが、祇王の憂鬱を背負うほど私の心は広くなく、意外にもすんなりと境内を歩くことができました。

紅葉シーズンのため、家族旅行に嫌々付いてきたお父さんが拗ねてわがまま言っていたり、楽しそうなカップルの会話が、境内の空気を軽くしたのかもしれませんが…(笑)

そして、白い猫に再会。丸々と太っていた猫はやせ細り、歩くのがやっとというような姿となっていました。
お寺の方に聞くと、三年前に肝臓を悪くしたそうで、そこから一気に痩せてしまったそうです。

それでも祇王寺のアイドルは健在と言ってもよいくらいの人気者。名前はまろみ。通称まろちゃん。

観光客に写真を撮られてはいても、別に気遣いする風でもなく庵のあたりでよたよたうろうろ。
乾いた喉を潤す姿は生命力に溢れていました。とはいえ、きっと、次回に訪れるときには会えないだろうな。。。と、寂寞な思いを重ねながら、祇王と祇王の母、そして仏御前、清盛供養塔に手を合わせて参りました。

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