五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

平家物語 小督(こごう)の局

2012年11月27日 | 第2章 五感と体感
8年ぶりに訪れた嵯峨野に自然園のような公園ができていました。竹の路を過ぎ住宅地でもある場所に、大きな空き地があることは8年前に気付いていました。嵯峨野の風景は、千年前はきっとこんな感じで野趣に富んでいたのでしょう。。。との思いが募り、暫く佇んで、その空き地を眺めたので記憶に深く残っていたのです。

芒(すすき)が繁り、小倉山から落ちてくるひんやりとした秋風が、野原に音を響かせます。

源融の時代も、清盛の時代も、そして世阿弥の時代も、きっとこの音だったに違いないと思うと、この音の中に佇む自分の時空がどの時やらになったか判別がつかなくなるのです。

その空き地が野趣を残したままの公園となって整備されていたのです。

嬉しや。と、思いました。

竹の笹の音

芒の音

小倉山からの風

これさえあれば、あとは小督が弾く琴のみです。

中秋の名月に月を愛で、高倉帝を想い、つい琴を奏でた小督。

我が娘建礼門院の夫である高倉帝が寵愛する小督を陥れる平清盛。
その仕打ちに姿を眩ますわけですが、月を愛で、つい琴を奏でてしまう小督。

奏でる楽の音は、きっと笹の音、芒の音に交わり、さぞかし風情を感じたことでしょう。

「もののあはれ」を身近に感ずる日本人の感性は、ここにありと思うのです。

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