もう一年が経つ。
去年の今日、震災の一日前。
友人に頼まれ製作した新築祝いのプレゼントの品を移動した。
地震でもあって棚から落ちて破損でもしたら大変だ、となぜか思ったのだ。
プチプチでくるんで箱に入れ、棚の上から机の上に。
引き渡しは12日だと決まっていた。
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その日はひと仕事終え、事務所にいた。
建て直したとはいえ、プレハブの安普請だ。
寄りかかるとギーギーうるさいイスの背もたれに体重をかけ、ふんぞり返りリラックスしていた。
すると、となりの女子が「・・・地震です」 と言う。
「ウソ どこがだヨ?」
イスをギーギーと揺らしているワタシ、気がつくはずもない。
と、女子が机の上にあった水の入った容器を指さす。
その表面にかすかな波紋が見えた。
そう、Tレックスが近づいてくる時の「ジェラシックパーク」の一場面のように。
まさにそう”突っ込もう”とした時、揺れだした。
小さな揺れから始まったから、直下型ではないとは分かっていたが・・・・・・
震度5を超える揺れは初めての体験だ。
事務所のトビラを開け、外に出ようかと中を振り返ると、
さっきのおっとり女子が、さすがに立ち上がったところだった。
すると強い横揺れに彼女が一歩たたらを踏み、足をふんばった。
その一歩のふんばり加減が、やけに記憶に残っている。
あとで笑い話にしたくらいだ。
しばらくして、震源が宮城県沖だと分かった時の驚きは大きかった。
「宮城? ホントにか?」
ここでの揺れと、ここからの距離を考えると、
想像を超えるヤツが来てしまったんだと、それだけはわかった。