そろそろ第204国会が召集される頃です。COVID-19に関連して2020年度補正予算第3号(いわゆる第三次補正予算)も提出されるでしょう。
さて、仕事の関係で何かと参照することが多い衆議院のサイトを見ていると、議員提出法律案には実に多くのCOVID-19関係法律案が提出されていることがわかります。ネットなどで国会議員を減らせなどと書いている人、話している人は、衆議院でも参議院でもよいのですがサイトを見て、議員提出法律案などを読んだりしているのでしょうか。
今回取り上げるのは、2020年の通常国会である第201回国会における衆議院議員提出法律案第3号、新型コロナウイルス感染症検査の円滑かつ迅速な実施の促進に関する法律案です。第203回国会においても閉会中審査の扱いとされています。題名は長いのですが、条文数は少なく、本則は第1条から第10条までです。
第1条は目的規定で、COVID-19が「全国的かつ急速なまん延を防止することが喫緊の課題となっていることに鑑み」て「新型コロナウイルス感染症検査」(PCR検査のことでしょう)の「実施体制の整備に必要な措置等を定めることにより、新型コロナウイルス感染症検査の円滑かつ迅速な実施を促進し、もって国民の生命及び健康を保護することを目的とする」となっています。
第2条は「医師の届出」という見出しの下、第1項において医師に対し、PCR検査の結果が得られたら直ちに都道府県知事(保健所設置市または特別区の場合は市町または区長。以下、都道府県知事に代表させることとします。)に届け出ることを義務付けるとともに、第2項において都道府県知事に対し、厚生労働大臣への報告義務を課しています。
第3条は「検査の実施件数及びその結果の公表」という見出しの下、厚生労働大臣に対し、第2条第2項による報告の他、感染症法第12条第2項などの規程による報告に基づいて「新型コロナウイルス感染症検査の実施件数及びその結果を集計し、その結果をインターネットの利用その他適切な方法により、速やかに公表しなければならない」と義務付けています。
第4条は「検査の実施体制及び実施状況に関する調査」という見出しの下、PCR検査の実施体制や実施状況についての必要な調査を義務付けています。
第5条は、国がPCR検査の実施体制や実施状況について「速やかに」検証を行うことを義務付けています。
第6条は「検査の実施体制の整備」に関するもので、国、都道府県、保健所設置市および特別区に対し、行政検査(感染症法第15条第4項などに基づく検査のこと)の「実施体制の整備」や「医療機関、民間事業者等に対する支援その他の必要な措置を講ずるものとする」としています。
第7条は国に対し、PCR検査の能力向上につながる「研究開発の促進及びその成果の普及に必要な施策を講ずるものとする」というものです。
この法律案において、或る意味で最も重要な規定であると思われるのが第8条で、「検査の迅速な実施」という見出しの下、「都道府県知事は、医師が新型コロナウイルス感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者を診察し新型コロナウイルス感染症検査が必要と判断した場合において、当該医師から、新型コロナウイルス感染症について感染症法第7条第1項の政令により準用することとされた感染症法第15条第4項の検査の実施を求められたときは、当該医師の意見を尊重し、迅速に実施するよう努めるものとする」としています。
第9条は財政上の措置などを国に義務付ける規定であり、第10条は都道府県、保健所設置市または特別区が第2条に従って行う事務を法定受託事務とする規定です。
第204回国会においても審議されるかどうかはわかりません。しかし、ここまで感染が拡大しているのですから、審議は必要でしょう。修正を加えてもよいのですし、内容がよくないというのであれば否決すればよいだけです。