ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

妙ちきりんな聖火リレー

2021年04月02日 18時05分00秒 | 社会・経済

 先月、動画で見た聖火リレーは妙ちきりんなものでした。渋谷の街で時々見かける宣伝用トラックが、やはりここは渋谷の街角であるとでも錯覚させるような大音量で前を通り過ぎていきます。パソコンの音量を絞っておかなければ近所迷惑とでも言われそうな勢いでした。そして、渋谷の街と違うのは、そのようなトラックが1台だけであるという訳ではなく、何台も連なるのです。

 見た瞬間に下品だと思わざるをえず、それ以上動画を視聴しなかったのですが、報じられたところによると、大音量を放つトラックの上にはDJがマスクもせずに大声で叫びまくっていたそうです。

 この様子について「チンドン屋かよ?」などとコメントをしている向きも多いのですが、チンドン屋さんを知らないか差別意識かのどちらかでしょう。子どもの頃、溝口や新城の商店街でよくチンドン屋さんの演奏を見て聴いていた私に言わせれば「チンドン屋さんに失礼だよ」ということです。何せ、チンドン屋さんの演奏には風情があります。今回の聖火リレーに風情を感じる人はどの程度存在するのでしょう?

 私がすぐに思い出したのは神田小川町、駿河台下交差点のそばにあったスキー屋の大騒音です。このほうが聖火リレーの大騒音と比べるのにピッタリと合っています。隣の古本屋であれこれと探している私だけでなく、怪訝な顔、不快な顔をして通り過ぎる人は少なくなかったのでした。

 今、COVID-19の変異種が猛威を振るい、大阪府、兵庫県および宮城県でまん延防止等重点措置の適用が行われることになっています。今月中には新規感染者数も増大の一途ということになるでしょう。それなのに、人を集める聖火リレーです。実際に、沿道に人が集まりすぎて密状態になった場所があるという報道もなされています。一方、大阪市は聖火リレーのコースから外されます。当然でしょう。

 広く国民に感染防止策が訴えられながら、GoTo、聖火リレーなど、矛盾することが行われようとする。論理も何もなく、理解不能な状況が続いています。第二次以降の安倍政権からよく言われている反知性主義が日本に溢れた結果でしょう。

 朝日新聞社に論座というサイトがあります。そこに掲載されている白井聡さんの「反知性主義の極みをさらけ出す五輪聖火リレー 『主権者のいない国』の空虚はもうこれ以上隠せない」(https://webronza.asahi.com/politics/articles/2021033000001.html)が参考になりますので、おすすめしておきます。

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