第3回緊急事態宣言に入る前、大阪府と兵庫県でマスク会食のための妙ちきりんな方法が知事から提唱されたことを覚えておられるでしょうか。兵庫県は団扇、大阪府は口の絵が描かれた、何だかわからない道具です。
見た瞬間に「こんなの意味ないだろう」と思いましたが、「やはり」と思わされる記事が日刊ゲンダイのサイトに掲載されていました。上昌広さんによる「『マスク会食』は感染を拡大させるリスク 推奨できません」(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/288445)です。
この記事で上さんが書かれているように、日本のCOVID-19対策(政策)には科学的根拠がない、合理性がないものが多いようです。少し考えれば誰でも「そんなの効果がある訳ないだろ?」と思うようなものも見受けられます。もっとも、いまだに血液型占いが信じられている国ですから、非科学的思考は日本中に蔓延しているのかもしれません。上さんと同年齢である私は、先進国とされている国、あるいはOECD加盟国で日本だけが際立って感染対策が遅れている根本的理由の一つを、非科学的思考、あるいは疑似科学的思考の強さに求めるべきであると考えています。血液型占いなど、日本以外の国では相手にされません。
記事には「感染者が会食中に度々マスクに触り、その手でテーブルやドアノブに触れれば、感染を拡散するリスクもある。両者はトレードオフの関係だ」と書かれています。その上で、マスクによる汚染を指摘されています。
「参考になるとすれば、手術の際に外科医が装着するマスクの汚染だ。これは、患者の体液が飛沫することによる感染から外科医を守ることに加え、外科医が術野(手術部位)に口腔や皮膚に常在する細菌を持ち込まないことを目的としている。」
上さんは血液内科医です。「無菌室に入るときにはマスクを装着するが、院内感染対策を専門とする先輩医師からは『患者さんの部屋に入れば、絶対にマスクを触るな』と指導された。私は、この教えを守り、後輩にも伝えてきた」とのことです。なるほど、と思いました。
あまりに徹底した策は、我々庶民にできるものではありません。しかし、参考にはなります。心がけをするとしないでは大違いであるからです。