2024年12月27日に、令和7年度税制改正の大綱が閣議決定されました。しかし、財務省のサイトに掲載されたのは12月29日のことです。
いかに与党税制改正大綱の決定が遅かったとしても、年内に政府の大綱が閣議決定されるはずだと思っていました。越年するならば一大事である、という訳でもないのでしょうが、珍しい話にはなるからです。ただ、12月27日中には財務省のサイトに掲載されず、28日になっても掲載されなかったので、「もしや」と思っていました。
与党税制改正大綱には既に掲載されていることですので、御存知の方も多いとは思います。ただ、与党税制改正大綱と政府の大綱とで内容が違うこともありえない話ではないので、待っていました。そう、このブログで2024年12月1日付で取り上げた、結婚・子育て資金に関する贈与税の特例です。
廃止の方針という報道もなされていましたが、結局、適用期限が2年延長されることとなりました。令和7年度税制改正の大綱の20頁に明記されています。また、与党税制改正大綱の13頁から14頁にかけて、次のように書かれています。
「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、令和5年度税制改正大綱で『制度の廃止も含め、改めて検討する』とされた後も、利用件数が低迷する等の状況にあり、関係省庁において、子育てを巡る給付と負担のあり方や真に必要な対応策について改めて検討すべきである。他方、現在、『こども未来戦略』の集中取組期間(令和8年度まで)の最中にあり、こども・子育て政策を総動員する時期にある。このため、本措置は、特に集中取組期間であることを勘案し、適用期限を2年延長する。」
何処かズレているような気がします。「こども・子育て政策を総動員する時期にある」ことはわかるのですが、贈与税の特例を利用できるのは富裕層である、と言えるのではないでしょうか。もっとも、富裕層という言葉の具体的な意味が問われることとなりますので、ここではあまり厳密に考えず、或る程度は資産を持っていて自分の子や孫に結婚や子育てのための資金を支出するだけの余裕がある人々の意味くらいで捉えておきましょう。その上で、改めて、結婚・子育て資金に関する贈与税の特例を活用できる国民がどの程度存在しうるのかを、調査の上で検討すべきではないでしょうか。「利用件数が低迷する等の状況にあ」ることは政府も与党も認めている訳ですから、その原因を探ることくらいは容易に行えるはずです。
(二子玉川駅にて。)