ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

VAIOがノジマに買収されるというニュースを聞いて

2024年11月12日 11時00分00秒 | デジタル・インターネット

 今ではMacをメイン機などとして使っていますが、大分大学勤務時から長らくの間、私はVAIOを何台か購入してメインとして使っていました。そのため、VAIOがノジマに買収されるというニュースを昨日(2024年11月11日)の午後に知り、「どうなるのだろうか」と考えたりしました。

 今日の朝日新聞朝刊6面13版Sに「VAIO ノジマがファンドから112億円で買収へ ソニーから独立後に収益改善 ブランドは継続」という記事が掲載されています。この記事によると、VAIOの株式のおよそ93%が日本産業パートナーによって保有されており、この全てをノジマが買い取るとのことです。時期は2025年1月6日の予定です。ただ、子会社化すると言っても「VAIOの経営陣は続投する。ノジマで独占販売することはせず、ブランドや販売形態も維持する」とされています。

 VAIOは元々、ソニーが1997年に発売したPCのブランド名です(上記朝日新聞朝刊記事では1996年と書かれていますが、VAIO社の公式サイトでは1997年とされています)。ソニーらしく、音楽や映像の面が強化されたパソコンで、私は1999年にデスクトップ型のPCV-S510を購入し、大分大学を離れる時まで使っていました。今は勿論、当時でも信じられないほどディスプレイが重い機種でしたが(モニター画面がトリニトロンを採用したものであったためです)、画面が美しかったこと、紫という、当時としては珍しい色を使っていたことなどから、うちのメイン機として愛用していました。ホームページもこのデスクトップで作っていました。他社のパソコンではゲームなどのソフトが多く入れられていましたが、VAIOには入っておらず、そこが気に入っていたのです。今のWindows機はわかりませんが、当時のWindows機には当初からあれこれのソフトがプレインストールされており、その多くは全く使われないままであったりしたので、それとは一線を画したVAIOが新鮮に思われた訳です。

 すぐに、VAIOは人気のブランドとなりました。何せ、あのKraftwerkもVAIOのノート型パソコンでステージをこなしていたのです。一時期は、家電量販店でパソコンを見ると半分はVAIOではないかと思われるくらいに多く取り揃えられたほどの勢いでしたし、VAIOだけのコーナーが広く取られている店も少なくなかったはずです。

 しかし、そのような時代も長く続かず、VAIOは価格競争で劣勢に立たされました。ソニーの製品全般に言えることでもありますが、VAIOは富士通やNECなどのパソコンに比べて価格が高く、それでいて性能は……、という部分がありました(私の経験ではカセットテープに外れが多く、TDKやマクセルをよく買っていました。そしてDENONを見つけたらDENON DX3などを買っていました。ミュージックテープでソニーとDENONとの性能の際は歴然としています)。価格設定にソニーの戦略があったのかもしれませんが、そうであるならばパソコンに関しては完全に失敗したということになります。OSで独自路線を進むアップル社であればともあれ、VAIOのOSはWindowsですから、性能が同じであれば安価な機種のほうが売れるに決まっています。VAIOは他社製品との差別化に成功しなかったとも言えるかもしれません。海外メーカー(DELL、Lenovoなど)が徐々にシェアを伸ばした結果、VAIOは競争に敗れ、収益が悪化して、一説には(としておきます)ソニーの業績悪化の原因の一つになったとも言われています。ここで再び私自身のことを記すと、2005年に購入したVGN-S52Bが同年の西南学院大学での集中講義期間中に深刻なトラブルに見舞われ、その後も何度か面倒事に遭いました。また、2010年12月にVPCW21AAJをソニーストアで購入したのですが、これが全くと言ってよいほど使い物にならず、2011年8月に福岡大学で集中講義を行った時にはとにかく時間ばかり食っていてどうしようもなかったのです。そこで、2010年から検討していたMacBook Airを2011年8月に購入し、西南学院大学での集中講義で使用して、結局は7年7か月ほど使い続けたのでした。これは機種選定の失敗で片付けられるかもしれませんし、Windows Vista、Windows 7など、OSのせいかもしれませんが、小型で持ち運びに便利なノート型パソコンであればMacBook Airなど、良いモデルが他にあったということでもあります。

 2014年にソニーはパソコン事業を日本産業パートナーに売却し、VAIO社が新たに設立されました。上記朝日新聞朝刊記事には「海外事業からの撤退や個人向け機種の大幅な削減を打ち出す一方、国内の法人向けに注力して収益改善を進め、3年目に営業黒字に転換した」、「近年は個人向けを再び拡充するなど業容を広げている。24年5月期の売上高は421億円と、2年連続で過去最高を更新した」と書かれています。たしかに、家電量販店などでVAIO社のパソコンを見かけることはほとんどなくなっていました。ノート型であれば僅かに出回っているという感じもありましたが、デスクトップ型を見ることはなかったのです。もっとも、ソニーがVAIOを完全に手放したかというとそうでもなく、銀座のソニーストアでは引き続き販売されています。

 さて、ノジマはVAIOを手にしてどのような展開を想定するのでしょうか。

 御存知の方も多いと思われますが、プロバイダ事業を主力とするニフティは、現在、ノジマの完全子会社です。ニフティは元々が日商岩井(現在の双日)と富士通が出資して設立された会社で、程なく富士通の完全子会社となっていました。ノジマの手に渡ったのは2017年のことです。

 また、ノジマは2023年にコネクシオ(携帯電話販売代理店)を傘下に収めています。

 そして2025年にVAIOです。上記朝日新聞朝刊記事には「VAIOのPCを手中にすることで、ネット接続やスマートフォンとセット販売できるようになる。『両社の法人向けの顧客基盤を活用したい』(ノジマ広報)としている」と書かれています。そういうことか、ということでしょう。


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