私は北海道に2回しか行ったことがなく、しかもその2回とも北海道大学で行われた学会に出るためであって、新千歳空港と札幌市を往復しただけのような状態でした。ついでのことなので、札幌市内を走る地下鉄の全線と路面電車全線には乗りましたが、その他の路線と言えば、千歳線の新千歳空港⇔白石、函館本線の白石⇔桑園、札沼線の桑園⇔新琴似を利用しただけです。
勿論、機会があれば鉄道を利用して北海道をまわってみたいとは思っていました。しかし、広大で、鉄道網を利用したくとも本数が少ないなどの問題があり、行けずじまいのままです。
そのような私が北海道の話を記してよいものかと考えたのですが、やはり、昨日、今日と報じられているところを見て、取り上げない訳にもいかないと思い、記します。
江差線の木古内⇔江差が廃止されたのは2014年5月のことですが、輸送密度の低い路線は多く、1980年代の国鉄分割民営化に際して設定された特定地方交通線の基準を仮に当てはめてみたらさらに廃止されそうな路線がいくつか出てきます。今日のテーマである留萌本線(深川⇔増毛)がその一つです。また、1月の土砂災害により鵡川⇔様似が不通となり、その後一部区間が再開したものの、再び不通となっている日高本線も、輸送密度が非常に低い路線です。
留萌本線の先行きについては、かなり暗い見通しが一部で主張されていました。書名を忘れてしまいましたが、何冊かの本で読み、「近々廃止が言われるかもしれない」という予想も立ちました。そして、昨日(6月27日)の6時30分付で、北海道新聞社が「留萌線の廃止検討 まず留萌―増毛、18年度までに JR、沿線自治体に意向」(http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0150361.html)として報じました。IDとパスワードを入力しないと全体を読むことができないので、今回は一部のみを読みました。また、毎日新聞社が、今日(6月28日)の9時55分付で「JR北海道:留萌線の廃止検討 沿線自治体と協議へ」(http://mainichi.jp/select/news/20150628k0000e020132000c.html)として報じています。
毎日新聞社の記事には、北海道内で輸送密度が500人未満となっている路線があげられています。2014年度の数字で、JR北海道再生推進会議によるものです。
1.札沼線 北海道医療大学⇔新十津川(47.6km) 81人
2.石勝線 新夕張⇔夕張(16.1km) 117人
3.留萌本線 全線(深川⇔増毛。66.8km) 142人
4.根室本線 滝川⇔新得(136.3km) 277人
5.日高本線 全線(苫小牧⇔様似) 298人
6.宗谷本線 名寄⇔稚内(183.2km) 405人
7.根室本線 釧路⇔根室(135.4km) 436人
8.釧網本線 全線(網走⇔東釧路。166.2km) 466人
留萌本線はワースト3位となっています。しかも全区間でこの数字です。たしかに、この数字では廃止が検討されてもおかしくありません。
また、札沼線(学園都市線という愛称があります)の場合は桑園⇔北海道医療大学の輸送密度が1万人を超えていますので、区間によって極端な差が出ています。最近、桑園⇔北海道医療大学が電化されたのに対し、北海道医療大学⇔新十津川は非電化のままであり、このうち、浦臼⇔新十津川は一日に3往復しかありません。
さて、留萌本線です。記事では「留萌線」となっておりますが、ここでは「留萌本線」と記しておきます。この路線は、四国を除くJRグループの各本線では筑豊本線に次いで短い路線であり、2倍以上の距離を有していた羽幌線が廃止されてからは、支線もない地方交通線で、本線とは名ばかりの存在となりました。現在、深川駅の時刻表を見ると、留萌本線の下り列車は一日に8本で、このうち増毛行きが6本、留萌行きが2本となっています(なお、普通列車しか走らないのですが通過する駅もあります)。このようになったのは、沿線の過疎化と深川留萌自動車道のためでしょうか。なお、留萌本線には列車交換を行うことができる駅が(起点の深川を除けば)峠下と留萌しかありません。
詳しいことはわからないのですが、留萌本線の中では末端区間となる留萌⇔増毛の利用客が特に少ないようで、この区間を2018年度までに先行して廃止するというのがJR北海道の意向です。この区間は、これまでにも雪崩、大雪などが原因で度々不通となっており、落石などに対する安全対策も行き届いていないようです。2012年にはこの区間で脱線事故も発生したのですが、抜本的な対策をとるためには50億円が必要とのことで、JR北海道としては拠出できない額であるということなのでしょう。たしかに、乗降客が少ないのに多額の費用をかけてもあまり意味がありません。
これまで、JR北海道では利用者の少ない、あるいは皆無の駅を次々に廃止してきました。留萌本線では、1990年に桜庭駅が廃止され、1995年に浜中海水浴場駅(臨時駅)が廃止され、2006年に東幌糠駅が廃止されています。しかし、駅の廃止、ワンマン運転化、本数の削減、列車交換施設の廃止など、合理化を進めても、留萌本線の状況は良くなりません。JR北海道全体を見ても、2015年度3月期決算で営業赤字が過去最大になっています。これでは、留萌本線の廃止もやむをえない状況でしょう。
しかも、問題は留萌本線に留まりません。上に示した路線、とくに現在は日高本線の行方が気になるところです。
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