ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

問題外の外

2012年09月21日 09時00分32秒 | 社会・経済

 今日の朝日新聞朝刊1面に「まったり がっつり 使います? 国語世論調査 『話せば済むこともメールで』30%」という記事が掲載されています(38面にも関連記事があります)。なかなか興味深い内容です。

 「まったり」というのは、たしか京都弁であったはずです。「ゆっくり、のんびりする」というような意味合いですが、いつごろから全国的に聞かれるようになったのでしょうか。おそらくテレビの影響でしょう。

 この記事の中には、私が使わないような言葉もいくつか載っています。その一つが「真逆(まぎゃく)」で、記事で初めて知りました。漢字をみれば一目瞭然で、正反対という意味なのですが、聞いたことがありません。

 私の周りではとくに女性が使っているという印象を受けるのが「なにげに」です。妻や知人がよく使っているのですが、最初に聞いたときには意味がわからず、聞き返したほどでした。「何気なく」という意味だそうですが、「何となく」という意味合いもあるようです。

 また、妻が「半端ない」と言った時にも、最初は「変な言葉だな」と思いました。これも最近は使われるそうです。中途半端でないという意味合いでして、私も「半端じゃない」と言うことはあります。「半端」と「ない」の間に助詞などがないことからして、関西の言葉ではないかと思うのですが、どうなのでしょう。

 逆に男性には最近おなじみの言葉が「がっつり」でしょう。渋谷のセンター街の飲食店でも、よく、幟などでみかけます。但し、これはこの数年の話です。元々は北海道の方言だそうで、これも芸能人などが使っていたから広まったのでしょう。ただ、北海道と一口に言ってもかなり広く、函館、松前、札幌、釧路、根室、網走、旭川、稚内など、地域によって違うのかもしれません。

 記事には「むかつく」も登場します。私の小学生時代から使われていた言葉ですが、元々は方言なのでしょうか。

 記事には登場しないのですが、私が使わない言葉の一つが、自転車を意味する「ちゃり」です。妻はよく使いますし、私の周囲でも使われています。逆に、私が「たからんちょ」を使うと、妻に怪訝な顔をされました。これは、ものをあげるという意味合いの言葉で、横浜言葉とも東京言葉とも言われています。私の父が時々使っています。「たからんちょ」と言われたら「あんちょ」と答えるのです。ただ、川崎では使われていたのかいなかったのか、知らない人も多いようで、私は伊豆の方言かと思っていました。最近は聞かれなくなりましたが、テレビ神奈川が、昨年まで「たからんちょ」をもじった名称の番組を放送していました。

 こうしてみると、言葉もかなり変化するものであるということが実感できます。実のところ、私は、言葉以上にアクセントの変化が気になっています。東京の30代以下の人たちの言葉を聞いていると、アクセントが上げ調子化、または平板化しているような気がするのです。言い方を変えれば、東北や北関東の方言のような発音です。その代表が、「~したんじゃね?」です。私の世代までは「じゃ」の部分を下げ、そこから「ね」を伸ばし気味に、しかも上げ気味に発音します(本来は「~したんじゃない?と言うべきだと叱られたりもしました」)。南関東ではそのような言い方でした。しかし、30代以下の人たちは「じゃね?」を上げ調子のまま平板に発音します。それを聞いた私は、相手に思わず「出身地はどこか」と尋ねました。どう聞いても栃木県以北の言葉なのです。ちなみに、福岡や大分ではこのような言い方を使わないようで、耳にしたことはありません。

 また、外来語のアクセントでは、いくつかの言葉については東北や北関東の方言のようなものになっています。たとえばライヴです。英語の発音では頭の「ラ」を強く発音します。私も同じような発音をします。しかし、とくに日本の音楽関係者は「イヴ」の部分を高く上げて発音します。

 もう一つあげるならば、ゼミです。私などは「ゼ」から「ミ」に向けて下げて発音しますが、30代以下の人たちは「ゼ」から「ミ」に向けて上げて発音します。今も違和感を覚えます。

 国語世論調査の記事には関心があるのでよく読むのですが、どうせのことならアクセントについても調査していただきたいものです(文章表現が難しいかもしれませんね)。

 さて、タイトルの言葉ですが、これは方言にもなっていない表現です。私が神奈川県立多摩高等学校の生徒であった時によく使われたのですが、他では聞いたことがありませんので、多摩高校だけで通用していたのでしょう。「問題外」に余計な「外」が付いているのですが、強調表現とお考えください。「問題外」のさらに外ということですから、「てんで話にならない」というような時に使えます。

 「この表現が普及しないかな」などと思うのですが、無理でしょうか。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« おしらせです(2012年9月17日) | トップ | 大牟田市の中心地空洞化は加... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

社会・経済」カテゴリの最新記事