ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

2010年6月11日、池尻大橋駅(2)

2019年12月12日 00時00分00秒 | まち歩き

 最初にお断りです。今回は、私の「川崎高津公法研究室」に掲載していた「待合室」の、次の記事の再掲載です。

 第378回:「東急田園都市線途中下車(3) 池尻大橋駅(その3)」(2010年8月28日〜9月9日掲載)

 第379回:「東急田園都市線途中下車(3) 池尻大橋駅(その4)」(2010年9月9日〜17日掲載)

 いずれも、写真撮影日は2010年6月11日です。誤字脱字を除き、内容を修正しておりません。したがいまして、後の事情変更なども一切反映しておりません。御注意ください。

 

 〔1〕

 池尻大橋駅前商店街を歩き終えました。まだ少しばかり時間がありますので、もう少し駅周辺を歩きます。駅から渋谷方面に出て、かつて東急玉川線の大橋車庫があった場所を目指します。 

 玉川線は「たまがわ」とあることから東急多摩川線と間違えやすいのですが、全く違う路線です。

 玉川線は、元々、玉川電気鉄道が経営していた軌道線で、玉電とも言われ、渋谷から二子玉川(当時は二子玉川園)まで、その大部分が現在の国道246号線の上を走っていました。首都高速3号線と東急新玉川線(現在は田園都市線の一部)の建設に伴い、1969(昭和44)年5月に廃止されました。三軒茶屋から下高井戸までの世田谷線は、玉川線の支線です。

 一方、東急多摩川線は、2000(平成12)年9月から地下鉄南北線および都営三田線との相互直通運転が開始されることに伴い、その少し前となる8月に、東急の発祥路線である目蒲線を分割することによって生まれた路線です。目蒲線は、名前の通り目黒と蒲田を結ぶ路線でしたが、目黒から田園調布までが目黒線(但し、運転区間は目黒から東横線の武蔵小杉、後に日吉まで)、田園調布から多摩川(分割前まで多摩川園)までは東横線の複々線区間、多摩川から蒲田までが東急多摩川線です。ちなみに、多摩川線という路線名が西武鉄道にもあるため、東急多摩川線が正式の路線名です。

目黒川です。東横線の中目黒駅のすぐそばを流れている川ですので、そちらのほうで御存知の方もおられるでしょう。田園都市線はこの川の下を走りますから、当然、車窓からは見えません。

この川は二級河川で、世田谷区の三宿で烏山川と北沢川とが合流して目黒川となり、目黒区と品川区を流れます。

 

 2010年3月、首都高速3号線と中央環状線が交差する大橋ジャンクションが開業しました。それが上の写真です。私もゴルフで一度だけ走りました。

 実は、ここが東急玉川線の大橋車庫でした。玉川線が廃止されてからは東急バスの大橋営業所が置かれており、目黒区はもとより、渋谷区、品川区、世田谷区に広範な所管路線を有していましたが、21世紀に入って程なく廃止されました。なお、玉川線の廃止の後、軌道線の車庫機能は世田谷線の上町に移っています。

 時々、玉川線の電車が走っていた頃の写真を見るのですが、今とは全く違いますので、果たして同じ地点なのかと疑うほどです。この先に大橋電停があったのですが、玉電の面影はありません。

 第373回で、私は、新玉川線について当時の世田谷区民が地下線として建設させようとする運動を起こし、訴訟も提起したことを紹介した上で「首都高速3号線と一体として建設されたこともあって、新玉川線は地下線となりましたが、果たして、住環境という点からすると、地下線でよかったのでしょうか」と書きました。この大橋ジャンクションを下から見上げると、その思いをますます強くします。首都高速3号線のために住環境が悪化したという声を聞いたことがありますし、三軒茶屋駅周辺はこの首都高速3号線と国道246号線のために分断されているのです。鉄道が街を分断することも少なくありませんが、拡張された道路はその分断の度合いを強めています。

 

〔2〕

大橋ジャンクションで気が滅入りましたが、そのすぐ近くに、全く性格の異なる場所があることを知りました。

 目黒区は、この目黒川の一部を緑道としています。東京都内の小規模河川には暗渠化されたところが多いのですが、この目黒川も、地図で見る限りに置いては暗渠化されている部分が少なくないようです。

 上の案内板にある地図で、池尻大橋駅付近の様子がわかります。ここからほんの少し歩けば世田谷区池尻ですし、東京大学のある目黒区駒場も近いことがわかります。

 目黒区は「みどりの散歩道」を設定しています。目黒川緑道とは異なりますが、駒場のほうまで散歩道が伸びていることがわかります。京王井の頭線の駒場東大前駅が目黒区にあるので、そちらのほうまで歩いてみるのも面白いかもしれません(京王の駅で目黒区にあるのは駒場東大前のみです)。

 目黒川緑道は目黒川の真上にあります。つまり、緑道の下に目黒川が流れています。暗渠化されて久しいのでしょうか。自動車が走るような構造にはなっていませんが、左側が自転車用、右側が歩行者用でしょう。ここを少し歩いてみることとします。

 この水をどこから引いてきたのかが気になりますが、御覧のように小川を再現しています。すぐそばを首都高速3号線と国道246号線が通るので、自動車の走行音も聞こえてくるのですが、それを気にせず、目の前の光景のみに注意を向ければ、日常とは異なる世界に心を置くことができます。

 実際の小川にも、このように石が流れをせき止めているような場所があります。それを再現したのでしょうか。実際にはコンクリートの上なのかもしれませんが、このように石を敷き詰め、川の流れを再現しているのがよいのでしょう。小さな魚がいればもっとよいと思いますが、それは無い物ねだりということでしょうか。

 

 どこからか鴨がやってきました。この水の流れの中を泳いでいます。主に植物を何を食べているのでしょうが、ここに鴨の餌となるものはあるのでしょうか。それはともあれ、鴨は悠々と泳いでいました。

 私が幼かった頃、東京の周辺では今ほど鴨を多く見かけなかったものです。勿論、多摩川にはいました。しかし、用水路、ビル街などに時々設けられる人工的な池などに鴨はいなかったものです。しかし、1990年代くらいからよく見かけます。水がきれいになったからなのか、人間が鴨を捕らなくなったからなのか。原因はいくつかあるのでしょう。

 僅かな時間でしたが、目黒川緑道を楽しみました。田園都市線の起点である渋谷駅から各駅停車に乗ると最初に到着する池尻大橋駅のそばに、こんな場所があるとは知らなかったので、私にとってはちょっとした発見でした。また、機会があれば寄ってみようと思います。


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