このブログで何度となく取り上げておりますように、JR北海道の経営状況は悪化を続けています。新型コロナウイルスによって拍車がかかってはいますが、仮にコロナ渦がなかったとしても改善の見込みは乏しいと言わざるをえない状態です。
さて、そのJR北海道について、国の支援が継続されることが決まったようです。朝日新聞社が、2020年12月13日11時付で「JR北海道 国の支援継続、赤字8線区地元負担は先送り」として報じています(https://digital.asahi.com/articles/ASNDD73BQNDCIIPE03T.html)。
12月12日、札幌市にある北海道庁で、国土交通省鉄道局長、北海道知事、JR北海道社長などが出席する会議が開かれました。その場で、国土交通省鉄道局長が、同省として支援を続けるという方針を表明したようです。もっとも、具体的な内容はこれから決めるようですが、これまで行われてきた1年あたり200億円程度の規模よりも増額すること、JR北海道の経営にとっては重荷になっている「青函トンネルの維持管理負担の見直しにも言及した」とのことで、次の通常国会には「支援継続に必要となる関連法の改正案を来年1月開会の通常国会に提出する」ようです。
上記の支援ですが、2018年に国土交通省が「JR北海道に経営改善を求める監督命令」を出すとともに財政支援を決定したものです。JR北海道の株式の保有者および割合について詳しいことがわからないのですが、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が保有者であることは記事にも書かれており、この機構が2019年度および2020年度に合わせて416億円を支出しています。2021年度から2023年度までの「第2次集中改革期間」に向けて支援を続けるのかもしれませんが、具体的なことは不明です。ただ、政府内部では1年ごとに状況判断を行うべきであるという見解も強いようです(記事では財務省幹部とされています。おそらくその通りでしょう)。
問題は赤字8線区への支援策です。国は北海道、沿線自治体に一定割合の負担(大まかに国:北海道:沿線自治体=1:1:1)を求めているのですが、北海道および沿線自治体には厳しい数字でしょう。人口も少なく、自主財源に乏しい市町村が多いからです。8線区の赤字は1年で120億円ほどになります。2020年度9月期の中間決算では385億円の赤字となっているだけに、8線区の存続はいっそう厳しいものとなるでしょう。「第2期集中改革期間」の最終年度である2023年度に、国はJR北海道の「経営改善の状況を踏まえて総括的な検証を行う」という方針を持っているようで、その結果次第ではさらに廃線が進むこともありえます。8線区についての負担は早く決められるべきでしょうが、行方はわかりません。
また、2031年度には北海道新幹線が札幌まで延伸されるというのが、現段階での予定事項です。正直なところ、北海道新幹線が(少なくとも短期的には)JR北海道の経営を上向かせるとは考えにくいのですが、2031年度がJR北海道の経営自立の目標とされています。それまであと約10年です。北海道はともあれ、沿線自治体に支援のための負担を求めるというのが現実的であるかどうか、疑わしいと考えるのは私だけなのでしょうか。
ここで、記事には地図および表で示されていた「単独維持困難線区」をあげておきます。営業赤字は2019年度実績です。
1.JR北海道が国などの支援を受けて存続する方針を示している線区
①宗谷本線の名寄〜稚内:約25億500万円
②石北本線の新旭川〜上川:約10億2600万円、上川〜網走:約34億1500万円
③根室本線の釧路〜根室(通称は花咲線):約11億800億円
④釧網本線の東釧路〜網走(全線):約16億1300億円
⑤富良野線の富良野〜旭川:約10億1500万円
⑥根室本線の滝川〜富良野:約10億8900万円
⑦室蘭本線の沼ノ端〜岩見沢:約11億800万円
⑧日高本線の苫小牧〜鵡川:約3億3100万円
2.JR北海道が廃止・バス転換の方針を示している線区
⑨根室本線の富良野〜新得:約8億6300万円(このうち、東鹿越〜新得についてはバス代行の実績)
⑩留萌本線の深川〜留萌(全線):約6億6100万円
3.沿線自治体が鉄道の廃止で合意している線区
⑪日高本線の鵡川〜様似:約6億3300万円(バス代行の実績)←2021年4月1日に廃止される予定
⑫札沼線の北海道医療大学〜新十津川:約2億7500万円←2020年5月7日廃止
⑬石勝線の新夕張〜夕張←2019年4月1日廃止
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