ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

AO入試合格者が退学する確率は高い(?)

2014年07月09日 13時29分30秒 | 受験・学校

 大学に勤務する者にとって、入試は一大関心事でしょう。日本の場合、入試と一言で表現するにはあまりにも多様であり、複雑ですが、それだけに学生がどの方法で入学したかという問題は、入学後の学習態度や退学などを考える際にもおおいに参考となります。

 以前からAO入試については様々な問題点が指摘されているのですが、少なくとも一つを裏付ける興味深い調査が行われました。読売新聞社が今日の10時2分付で「AO入試合格者、6人に1人が退学…読売調査」として報じています。

 (http://www.yomiuri.co.jp/national/20140708-OYT1T50196.html

 少なくとも同社のサイトに掲載されている限りでは短い記事で、具体的な中身についてはわからないことも多いのですが、同社が「大学の実力 教育力向上の取り組み」調査というものを行っているようで、「今年の『大学の実力』調査は、通信制などを除く全国744の国公私立大学を対象に、学生の成長のための取り組みや大学の現状を聞き、過去最高の659校(89%)が回答した」とのことです。記事には、その結果が端的に示されています。

 記事によると、入試別方法で退学率をみると、AO入試合格者の退学率が15.5%で最も高く、一般入試合格者の退学率は5.9%で最も低かった、とのことです。

 入試別方法と書かれていますが、AO入試と一般入試しか書かれておらず、他にいかなる入試方法について調査が行われたのかは不明です。推薦入試が含まれることは確実でしょうが、示されていません。また、一般入試とはいかなる入試であるかということについても説明がなされていません。

 一般入試であれ推薦入試であれ、大学によっては複数の方式がとられている可能性があります。まず、一般入試について大東の例をあげると、受験科目数によって方式が分かれており、「全学部統一入試」は2科目、「一般入試」は3科目です。他大学では異なる方式がとられていたりもします。また、最近では多くの私立大学でセンター試験を利用する入試が増えており、大東でも実施されていますが、これも一般入試と言えます。

 他方、推薦入試についても、いくつかの方式に分けている大学が多いでしょう。

 退学者数・退学率を調査する場合には、方式ごとに数字をみますので、一般入試、推薦入試、AO入試という大括りでは正確なことがわかりません。

 また、退学者と言いますが、退学者の在籍年数、退学理由も不十分です。そのため、記事のように「AO入試は本来、学力試験で測れない意欲や能力を重視する試験だが、早ければ入学の半年以上前に合格が決まることなどで学習意欲を失わせているとの指摘があり、見直しを迫られる大学も出そうだ」と簡単にまとめられません。学習意欲や能力はあっても経済的理由で退学せざるをえないというケースがありますし、在学中に就職が決まってしまい、本人の年齢などの都合で退学したという事例も存在します。

 ただ、AO入試に様々な問題があり、記事中から私が引用した上記の文章には正当な部分もありますので(職務上の問題もあり、あまり具体的なことは記せません)、方法などについて改善しなければならないと言えます。


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