遅ればせながら、5月17日に国立西洋美術館「シャセリオー展」に行ってきた感想です。
恥ずかしながら、シャセリオーって全く知りませんでした。
フランス・ロマン主義の異才テオドール・シャセリオー(Théodore Chassériau 1819-1856)
11才でアングルの弟子となり、16才でサロンに初出品。以後、アングルの優美な線描の芸術を受け継ぎつつも、ロマン主義芸術への傾倒から、独自の道を探求。1856年10月、37才で死去。
夭逝の天才で、その後のギュスターヴ・モローなどに影響を与えた、フランス・ロマン主義を代表する画家との評価のようです。
絵をみればすぐ納得するのですが、写実絵画の本格派です。
でも、日本での知名度はやっぱり低いのか、観客は少な目でした。
シャセリオーにとって、不幸だったのが、オルセー河岸の会計検査院にミケランジェロを彷彿とさせるような大壁画を残していたのに、1871年のパリ・コミューン騒乱によって破壊(放火)されてしまったことです。
いつの時代でも、左巻きというのは、どうしようもない人たちですね。
これが残っていれば、当時の評価が世界中で、今でも続いていたのではないでしょうか(もちろんフランスでの評価は高かったようですが)。
ということで、またひとつ教養が高まった美術展でした。
更に、いいもの発見。
同時に、「スケーエン:デンマークの芸術家村」という展覧会も観覧できたんですが、これが素晴らしい。
1800年後半の絵画なんですが、信じられないくらい、みずみずしい感性が感じられる絵画です。
Michael Ancher 1849 - 1927 Art Museums of Skagen
マリー・クロヤーの肖像 Art Museums of Skagen
この人、画家ペーダー・セヴェリン・クロヤーの奥さんなんですが、無茶苦茶きれいな人です。
逆智恵子抄みたいな人生を送った人のようです。
この人の人生を描いた映画もあるようです。
Marie Krøyer (2012) Officiel Trailer
ということで、スケーエン派という絵画を知ったのも収穫でした。
あとは、常設展を回りました。松方コレクションです。
常設展は、一部の物を除き、写真撮影OKという外国の美術館みたいな待遇です。
この絵いいです。
ヴィルヘルム・ハンマースホイ(Vilhelm Hammershøi)という人の絵です。
デンマークの画家ですが、フェルメールを代表とするオランダ絵画を彷彿とさせる画風です。
更に、大発見。フェルメール作とされる「聖プラクセディス」が、展示されています(撮影禁止でした。表示に気が付かない女の子がスマホで撮って怒られた上、ファイル消去するまで指導されていました)。
日本人が2014年に10億8,600万円で落札して、その方から寄託されたもののようです。日本の美術館で、収蔵作品としてフェルメールが見られるなんてすごいです。これ、ニュースになってましたかね。フェルメールフリークとしては知らなかったことが恥ずかしい。
ということで、発見の多い1日でした。